米国で事務職の求職者が職を得るためにヘッドハンターへ費用を支払う、いわゆる「逆採用(リバースリクルーティング)」が拡大している。企業が採用担当者に手数料を支払ってきた従来の採用構造が逆転し、求職者が費用を負担する新たな市場が形成されているとの分析が出ている。
8日(現地時間)のウォールストリート・ジャーナル(WSJ)によると、こうした変化は労働市場の悪化が後押ししている。米国労働統計局によれば昨年末時点で失業者数が新型コロナのパンデミック以降初めて求人件数を上回った。平均求職期間も約6カ月に迫った。大手テック企業や物流企業を中心にリストラが続き、数千人の事務職労働者が一斉に求職市場へ流入した。
このような環境で一部の求職者は競争を生き残るために採用代行サービスを選択している。求職者のダニエル・ベハラノ(36)は逆採用プラットフォーム「リファー」を通じて職を得た。リファーの人工知能(AI)エージェントが、ベハラノをボランティア管理企業「ゴールデン」の経営陣とつなぎ、ベハラノは複数回の面接の末に採用された。ベハラノは初月の給与が振り込まれるやいなや、給与の20%を手数料として支払った。ベハラノはWSJに「多数の応募者の中に埋もれなかった点が最大の利点だった」と語った。
逆採用モデルは形態も多様だ。採用が確定すれば給与の一定割合を手数料として受け取る業者もある。別の業者は、求職者に代わって履歴書を提出したり企業の人事担当者に直接連絡したりする対価として定額料金を請求する。単なるキャリア相談や履歴書の添削を超え、応募前の全過程を代行する方式である。
アンドレ・ハムラ・リファー最高経営責任者(CEO)は「金を払わなければあなたが商品になる構図だ」と述べ、「求職者を顧客とする方式がサービスの動機だ」と説明した。同社は現在、名門大学出身の求職者を中心にサービスを提供しており、テクノロジー分野全般へ拡大する計画だ。リファーによると、1日平均の求職者紹介件数は20件以上に増え、利用企業も約2000社に達する。
しかし懐疑的な見方も少なくない。従来型のヘッドハンターは、求職者に手数料を課す方式の倫理性に疑問を投げかける。ヘッドハンティング会社パープルゴールドパートナーズの共同創業者ケン・ジョーダンは「脆弱な求職者が過度なマーケティングにさらされ得る」とし、「求職者はログイン情報の管理主体と実際の応募方式について必ず確認すべきだ」と助言した。
実効性を巡る議論もある。ネットフリックスを解雇されたション・コールはフリーランスプラットフォームのファイバーを通じて逆採用サービスを利用した。2週間で約50社に応募するために400ドル(約58万円)を支払ったが、面接につながった事例はなかった。一部の上級職の公募まで接続されたものの、実際の成果には結びつかなかった。
高級型サービスも登場した。「リバースリクルーティングエージェンシー」は月1500ドル(約218万円)で、カスタマイズ履歴書の作成、大量応募、在職者への接触まで提供する。同社は顧客44人のうち20人が採用されたと明らかにしたが、高額な費用と個人情報の活用方法への懸念も併せて提起される。
専門家は、逆採用の拡大が事務職労働市場の構造的不安を示す事例だと分析する。採用コストの負担が企業から求職者へ移ったのではないかとの指摘も出る。逆採用が一時的な流れにとどまるのか、新たな採用手法として定着するのかは、なお不透明だとの声もある。