米カリフォルニア州ロサンゼルス(LA)で次期市長の座をめぐり激戦が展開される見通しだ。西海岸の進歩派陣営でライジングスターとして台頭したニティヤ・ラマンLA第4区市議が電撃的に出馬を宣言し、再選が有力視されていた現職のキャレン・バス市長に世代交代の挑戦状を突きつけたためである。
米ニューヨーク・タイムズ(NYT)によると、ラマンは7日(現地時間)、候補登録の締め切り数時間前に出馬を正式化したとされる。ラマンは「バス市長を深く尊敬しているが、住宅費の高騰から故障した街路灯に至るまで、都市の基本的な問題が家族の暮らしをますます不可能にしている」と述べ、「LAはいま臨界点に達した」と明らかにした。
ラマンの出馬は、有力候補が相次いで予備選から離脱した直後に行われたことから、大きな衝撃を与えたとみられる。先にオースティン・ビュートナー前LA教育長は22歳の娘の死を理由に出馬を撤回し、2022年選挙でバスに敗れた億万長者の不動産開発業者リック・カルーソは出馬を見送ると表明していた。これに加え、山火事被災地を地盤とするリンジー・ホーバスLA郡監督官まで不出馬を宣言し、情勢はバスの再選に有利に形成されていた。
キャレン・バス市長は元連邦下院議員で民主党内の中堅であり、LA生え抜きという象徴性まで備えた地域初の女性市長である。しかし昨年1月にパリセーズ地区で大規模な山火事が発生した際、海外に滞在していた事実が明らかになり支持率が急落、最近では市消防当局の火災対応評価の縮小を指示したとの疑惑まで提起され、政治的な負担が増している。
ただしバスは在任期間の成果を前面に打ち出し、巻き返しを狙っている。ドナルド・トランプ政権と公然と対立姿勢を取り、移民取り締まりに対抗してきたほか、都心の商業地と治安の問題を一定程度改善したためである。とりわけバス在任以降、路上生活者数は2年連続で減少し、LA史上前例のない成果を記録したとの評価も出ている。
それでもラマンは、LAに山積する社会問題と市民の不安を原動力に支持拡大に乗り出している。LA住民は天井知らずに跳ね上がった住宅費、相次ぐ大型訴訟に伴う市財政の負担、老朽化したインフラ、ハリウッドの制作減少による雇用縮小など多様な問題に直面し、継続的に不安感を訴えてきた。
ラマンはインド生まれの移民、双子の母、テレビプロデューサー兼脚本家バリ・チャンドラセカランの配偶者という自身のアイデンティティを支持者の結集に積極的に活用する。ラマンは「この都市は私と家族に想像以上の機会を与えてくれた」としつつも、「もはや(LAが)機会の都市として残れなくなるのではと恐れている」と述べ、変化を促した。
米最大の社会主義団体「アメリカ民主社会主義者」(DSA)陣営所属で政界入りしたラマンは、2020年の新型コロナウイルスのパンデミックと人種差別反対デモが最中だった時期にボランティア組織と借家人の票を結集し、異例にも現職市議のデイビッド・リュウを破ってLA市議に当選した。当時ラマンは史上最多の得票を獲得し、2024年にも再選に成功している。
一部では、ラマンがゾーラン・マムダニNY市長を想起させるとの評価も出ている。両者はいずれも移民家庭出身の米国人で、米国移住後に名門大学を卒業してエリートコースを歩んだためである。DSA陣営に所属し、進歩的な政治志向を基に都市の住宅価格と住宅供給政策に強い関心を寄せている点も、共通点として指摘される。
一方、ラマンが出馬を表明したことで、LA市長選が11月の決選投票に進む可能性が高まったとの分析が出ている。この選挙は6月2日の予備選で過半数を超える候補が出れば当選が確定し、そうでない場合は上位2人が11月3日の決選投票で最終当選者を決する方式で実施される。
バス市長陣営は警戒感を示している。バス選挙キャンプのダグラス・ハーマン顧問は「ラマンは警察学校の予算拡大、ホームレスの野営禁止など中間層が支持した政策に反対票を投じてきた」とし、「LAに必要なのは都市をより安全にするリーダーだ」と指摘した。