米電気自動車メーカーのテスラが上場後初めて通年売上高の減少に直面するなど不振が続くなか、テスラ不振の原因がイーロン・マスク最高経営責任者(CEO)の政治的な動きだけではないとの分析が出ている。
昨年のテスラの世界全体の車両引き渡し台数は約16万台で前年比9%減となり、テスラの本拠である米国でも販売台数が7%減少した。とりわけマスクがトランプ政権に在職していた昨年上半期、テスラの売上・利益・車両引き渡し件数はいずれも減少したことなどから、業界ではテスラ不振の要因としてマスクの政治活動を挙げていた。
しかし5日(現地時間)、ブルームバーグは「テスラの苦境の背後には、単にマスクへの反感よりはるかに複雑な理由がある」と報じた。マスクの政治的行動がテスラに否定的な影響を与えたのは事実だが、テスラ不振は複合的な要因の結果だということだ。
まず、世界的に電気自動車市場が減速している。ブルームバーグNEFによると、今年の世界の電気自動車販売台数は前年比12%増にとどまり、前年の増加幅(23%)の半分水準に縮小する見通しだ。昨年の米連邦政府による電気自動車税額控除の終了、相次ぐ電気自動車用バッテリー問題、急速な技術進歩に伴う中古電気自動車の相場下落などの要因が重なった影響である。
米国とともに電気自動車市場を牽引してきた中国も最近、電気自動車補助金を縮小し、欧州連合(EU)は内燃機関車に対する規制緩和を進めているため、電気自動車市場が以前のように拡大するとの見方は大きくない。
さらに電気自動車市場の競争が激化するなか、テスラの競争力は次第に弱まっている。現在、米国で販売されている電気自動車モデルは100種以上に達し、各自動車メーカーがこぞって新型車を投入している。一方でテスラは2023年にサイバートラックを披露して以降、新モデルを出せていない。その結果、テスラの米国市場シェアは2024年に初めて50%を下回った後、下落が続いている。
コックス・オートモーティブの産業分析担当ディレクターであるステファニー・バルデス・ストリーティは「販売減少の主因の一つは新製品の不足だ」とし、「新車を投入しない自動車メーカーは市場シェアを失うしかない。テスラには新しいモデルが必要だ」と指摘した。
業界では、電気自動車の先頭走者だったテスラの地位はかつてほどではないと評価する。2008年の初の電気自動車ロードスターと2012年のモデルSを相次いで投入し電気自動車市場を牽引したテスラが、いまや競合各社に押されているとの分析だ。テスラを離れた消費者の3分の2超が他の電気自動車に乗り換えるというS&Pグローバルの調査結果は、この現実をよく示している。
S&Pグローバル・モビリティのアナリストで「テスラのブランド忠誠度」報告書の著者であるトム・リビーは「過去、テスラは単なる自動車ブランド以上の存在だった」と述べ、「業界を率いる先導者と認識され、車両自体も最先端の電気自動車と見なされた。だが今は必ずしも技術の最前線にあるとは言い難い」と語った。
テスラの不十分なアフターサービス(AS)も顧客離れを促している。オレスティ・チョノプロスは昨夏、テスラのカスタマーサービスに疲弊し、保有していた2018年型テスラ・モデル3と2020年型モデルYを処分して現代自動車のアイオニック9に乗り換えた。ブルームバーグは「複数のオーナーが不十分な顧客対応がテスラを離れた理由の一つだと語っている」とし、「これを指摘するRedditやThreadsの投稿も少なくない」と伝えた.