ドナルド・トランプ米国大統領がインド産製品に課していた高関税を大幅に引き下げる方針を示し、インドの対米通商戦略が注目を集めている。トランプ大統領は3日(現地時間)、インド産製品に対する関税を従来の50%から18%へ引き下げると発表した。ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)はこの日、インドが「中堅国戦略」と静かな外交を通じて交渉力を回復した事例だと評価した。
WSJは、インドが米国との正面衝突を避ける代わりに英国や欧州連合(EU)、カナダなどと貿易協定を並行して推進し、交渉のてこを強めたと分析した。最大輸出市場である米国への依存度を下げうるというシグナルを送り、ワシントンを再び交渉のテーブルへ引き戻したというわけだ。実際にインドは最近、EUと「過去最大規模」と評価される貿易協定で合意し、カナダとも関係改善とともに通商交渉を再開した。
WSJはまた、ナレンドラ・モディ印首相の「沈着な対応」を今回の合意の背景に挙げた。インドはロシア産石油の購入を巡る米側の公開批判と圧力に対し、対抗措置を自制し、トランプ大統領に顔を立てる外交的余地を残したとの評価だ。戦略助言会社アジア・グループのアショク・マリク顧問はWSJに「インドは非常に速く方向を修正し、不確実だったボトムを管理することに成功した」と語った。
ただし、こうした解釈には反論も少なくない。インドが「静かな外交」で主導権を取り戻したというより、最大の輸出相手である米国を失えない現実のなかでトランプ政権の要求を相当部分受け入れた結果だという指摘である。インドの現地メディアや一部の通商専門家は、関税引き下げの見返りに、インドが市場開放や対米購入拡大など実質的な譲歩をした可能性に注目している。
インドの貿易調査機関GTRIのアジェイ・スリヴァスタヴァ設立者は現地メディアに「政治的宣言だけでは成果を評価しにくい」とし、「関税引き下げの適用範囲と法的拘束力のある協定文書が公開されるまでは祝うのは早い」と述べた。スリヴァスタヴァは過去の米国との貿易合意が一方的に機能し、相手国が負担を背負った事例が少なくないと指摘した。
実際、トランプ大統領は今回の合意を米国の勝利として包装できる余地を確保した。トランプ大統領はインドが米国産のエネルギーや農産物、製造業製品を大規模に購入すると主張したが、具体的な数値や履行スケジュールは公表されていない。インド政府もロシア産石油の購入縮小の有無など敏感な案件については明確な説明を避けている。
専門家は、今回の合意の性格を断定するのはまだ早いとみる。WSJが描写したように、インドが多国間交渉と外交的自制で交渉空間を広げた側面がある一方で、関税50%という圧力に長期的に耐え難かった構造的限界も明白だということだ。今後公開される詳細協定と実際の履行過程次第で、今回の合意が「中堅国外交の成功例」として残るのか、それとも「トランプ流の圧力外交への後退」と評価されるのかが分かれる見通しである。