キア・スターマー英首相が8年ぶりに中国を公式訪問し、中英関係の改善に乗り出した。米国と欧州諸国の間で亀裂が深まるなか、英国は「特定の陣営に与しない」との立場を強調し、中国との実用的な協力を通じて経済的な活路を見いだす意欲を示した。中国も今回の訪中で協力の新たな突破口を開くだけでなく、両国間の共生の基調を確立しようと呼びかけて応じた。
28日中国国営新華社通信とブルームバーグによると、スターマー首相はこの日から31日まで3泊4日の日程で中国に滞在する。スターマー首相は北京で習近平国家主席と首脳会談を行い、李強(リー・チャン)国務院総理、趙楽際全国人民代表大会常務委員長とも面会する。その後、上海へ移動する予定だ。
今回の訪中には、50余りの英大企業と機関関係者、政府関係者で構成された大規模な経済代表団が同行する。エアバス、アストラゼネカ、ブロムプトン、JLR(ジャガー・ランドローバー)、マクラーレン・オートモーティブなど主要製造業に加え、HSBCグループ、スタンダードチャータード、バークレイズなどの銀行も含まれた。
両国はスターマー首相の公式日程開始前から「実用協力」への期待感を示した。スターマー首相は出国に先立つブルームバーグとのインタビューで「私はしばしばどの国を選ぶのかと求められるが、そうはしない」と述べ、米中の間で選択を強いられない立場を明らかにした。スターマー首相は英国産業の対中輸出機会を拡大することが目標であり、それは米国であれ中国であれ変わらないと強調した。予測可能性が低い米国と異なり、中国は長期的かつ体系的な方式で交渉を進める国である点から、英国は金融と製造、サービス産業を中心に協力拡大を期待する雰囲気だ。
英国の対中接近は自国の経済状況とも結びついている。インフレと雇用不安のなかで、英消費者は中国製の低価格品だけでなく、電気自動車やスマートフォンなどの中・高価格品にも反応を示している。英国は欧州連合(EU)と異なり中国製電気自動車に関税を課しておらず、中国企業の市場進出が急速に拡大している。比亜迪(BYD)は昨年の英国販売台数が5万台以上と5倍近く増え、同期間に販売が減少したテスラやBMWミニを上回った。上海汽車(SAIC)ブランドのMGも昨年英国で8万5000台以上を販売し、ランドローバーを超えてトヨタの販売台数に迫った。
ブルームバーグは「問題は自動車だけではない。かつて米国で国家安全保障上の理由により制裁を受けたシャオミのスマートフォンも、英国では消費者の選択を受けている。英国には中国製品に対するスティグマが存在しない」とし、「直近10年で英中間の貿易が大きく増え、中国は携帯電話、コンピューター、自動車の輸入増加によって英国の貿易赤字を拡大させている。英国がドイツを抜いて欧州最大の輸入国になる可能性も出ている」と述べた。
中国国営の環球時報はこの日、社説でスターマー首相の訪中を「英国の国益に基づく理性的な選択」と評価した。環球時報は「米国と『特別な関係』を結ぶ同盟国として英国のこうした立場は一部には意外に映るかもしれないが、実は極めて自然なことだ」とし、「中英関係が数年間友好的でなかったうえ、米国発の不確実性のなかで西側諸国が対外関係においてより大きな予測可能性を求めているためだ」と分析した。
続けて「中英関係の改善は両国双方に有益だ。もちろん中英が全ての問題で意見一致するわけではないが、相互尊重と実用的協力の原則の下、理性的な対話を通じて解決策を模索することは十分に可能だ」と述べた。さらに「英国には建設的で友好的な関係を維持する能力も権利もある。これは国益に責任を負う成熟した姿勢だ」とし、「中国は決して英国の安全保障上の脅威でも発展の障害でもない。今回の訪問が双方の各分野での協力において新たな突破口を開くにとどまらず、今後の中英関係の長期的発展に向けた共生の基調を確立する契機となることを望む」とした。