ドル建て資産に対する信認懸念が続くなか、ドルの価値が4カ月ぶりの低水準に落ちた。米国と日本の為替当局による円相場下支えの市場介入観測への警戒と、米連邦政府のシャットダウン懸念がドル安を助長した。
28日(現地時間)ICE先物取引所で主要6通貨に対するドルの価値を示すドル指数は、ニューヨーク株式市場の取引終了間際に95.86となり、前日比1.2%下落した。これは昨年9月以来、4カ月ぶりの低水準である。
ドルは最近、米連邦準備制度(Fed・FRB)の独立性侵害懸念やドナルド・トランプ米大統領のグリーンランド併合をちらつかせる発言が浮上して以降、4営業日連続で軟調地合いを続けている。これによりドル資産への信認が揺らぎ、市場では「セル・アメリカ」または「ディベースメント・トレード」を巡る論争が再燃している。
こうした流れのなか、ドルに対比した金価格も上昇基調を維持している。ドル安が相対的に金の需要を刺激する要因として作用しているとの分析である。
政治的不確実性もドル安に影響した。移民当局職員の発砲で発生したミネアポリス死亡事件の余波で、米上院の民主党議員らが国土安全保障省の予算案に問題を提起し、連邦政府のシャットダウン(一時的な業務停止)可能性があらためて浮上した。
決済企業コペイのカール・シャモッタ首席市場ストラテジストはロイター通信に「米政府がさらなるシャットダウンに向かうなかで政策の不確実性が急増している」と述べ、「これは一年を通じて市場を支配してきた『セル・アメリカ』取引を一段と深めている」と評価した。
ここに、米国と日本が円相場の下支えのために為替市場へ介入する可能性があるとの観測も、ドル安の背景として働いた。先立つ23日、ロイターはニューヨーク連邦準備銀行が為替市場のディーラーらとドルに対する円相場を点検し、市場介入の可能性を示唆したと、関係筋の話として報じた。
米財務省とニューヨーク連銀は当該事実を確認していないが、ロイター通信は為替市場の参加者が当局の介入可能性に対する警戒感を維持していると伝えた。