ドナルド・トランプ米大統領の再登板以降、カナダで反米感情が広がり、米国のスキーリゾートが売上高に直撃弾を受けている。国境近くのリゾートでカナダ人観光客の予約と訪問が急減し、観光産業全体に構造的な打撃が長期化しかねないとの懸念が出ている。
26日(現地時間)ブルームバーグによると、モンタナからメインに至るまで米国各地のスキーリゾートがカナダ人観光客の減少で不振に苦しんでいる。これを受け、ホテルやリゾートはカナダドルでの決済受け付けや宿泊費の大幅割引、フランス語案内の強化など攻勢の集客に乗り出したが、効果は限定的だとの評価である。
昨年末に旅行専門誌トラベルウィークリーと市場調査会社フォーカスライトが共同で実施したアンケートによると、カナダの旅行会社関係者のうち78%が米国行き予約が前年同期比で減ったと回答した。観光分析会社イントピアは22日時点でカナダ人の米国スキーリゾートのシーズン予約が前年に比べ41%減少したと発表したが、これは同期間の米国人の予約減少幅(5%)の8倍を上回る水準である。
カナダ・ケベック州国境近くに位置するバーモント州ジェイピークリゾートは、こうした変化を端的に示す事例だ。同リゾートは平年ベースで全体収益の半分以上をカナダ人来訪者から得てきたが、最近カナダの顧客のシーズン券更新率が前年に比べ35%減少し、売上に大きな打撃を受けた。
スティーブ・ライト社長兼総支配人はその後、トランプ政権の貿易戦争を扱った米議会フォーラムで「シーズン券保有者約100人に直接電話をかけ、更新しなかった理由を尋ねた」とし、「多くが現状では良心的に米国へ行くことはできないと答えた」と説明したことがある。
実際に業界は、トランプ大統領の復帰以降に冷え込んだ両国関係が業況不振を招いたとみている。イントピアのデータによれば、トランプ大統領が物議を醸す地政学的発言をするたびに、48時間以内にカナダ発の予約が目立って減少するパターンが繰り返されているという。イントピアのトム・フォーリー総括は「カナダ人は長年の友人から裏切られたと感じている」と診断した。
先にトランプ大統領は2025年の再就任直後から「米国第一主義」を掲げ、同盟国のカナダに圧力をかけてきた。2月1日にはカナダ産製品に25%の一律関税を課すと発表し、カナダを「米国の51番目の州」と言及して挑発を続けてきた。これを受けカナダ全土では米国旅行を控えようという「Elbows Up(エルボス・アップ)」キャンペーンが広がり、米国行き需要は次第に低下傾向を示した。カナダ統計局によると、カナダ人は米国の代わりに国内へ旅行需要を振り向ける雰囲気だ。
打撃は国境地域に集中している。観光産業が州域内総生産(GDP)の約9%を占めるバーモント州では、カナダ人観光客の減少により昨年約7,500万ドル(約108億4,000万円)の損失が出たと試算される。夏季の国境通過件数と州立公園の来訪者数が同時に落ち込むと、バーモント州バーリントン市議会は危機感を抱き、中心部のショッピング街の名称を期間限定で「カナダ・ストリート」に変更する措置まで講じたことがある。
ただし状況は短期間で改善しない見通しだ。イントピアのフォーリー総括は「世代にまたがる信頼の崩壊が起きた以上、以前並みの観光客数の回復は極めて難しい」とし、「米国の観光業界はカナダ市場が回復するという前提自体を捨て、5年・10年単位の中長期戦略を再構築すべきだ」と助言した。
現地の従事者は、カナダ人の怒りの対象が特定地域ではなく「米国そのもの」だという点を肌で感じていると明らかにした。バーモント州キリングトンリゾートのジョシュ・リード・コミュニケーションマネジャーは「一部のカナダ人は米国を訪れたという理由だけでも周囲の視線を意識している」と説明した。