米財務省がドルに対する日本円の価値を押し上げるために介入したとの憶測が浮上した後、ウォール街が政府の動きに神経をとがらせているとウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)が26日(現地時間)報じた。
先だって23日、ニューヨーク連邦準備銀行が米財務省の指示に基づき、投資銀行など市場参加者に円相場の水準を尋ねる調査(レートチェック)を実施したことが伝わった。為替調査は一般に当局が特定通貨の取引状況に懸念を抱いていることを示すシグナルであり、為替介入の前段階で行われる手続きとして知られている。
こうした知らせが伝わると円高が急速に進んだ。23日にドルに対する円相場が159.17円まで急騰したのとは対照的に、現在は154円台で推移している。トランプ政権は円相場に米財務省が介入したとの疑惑について直接の言及を避けているが、その背景をめぐり様々な憶測が出ている。
当初WSJは、米財務省が円安とともに現れた日本国債金利の上昇を懸念し、円安(低)への介入に踏み切ったと報じた。日本国債の金利が上がれば先進国の国債金利が連動して上昇し、米国債金利も追随して上がる可能性が高まるためである。実際、スコット・ベセント米財務長官は先週初め、米国債利回りが急騰した要因として日本国債利回りの上昇を挙げた。
あわせてトランプ政権が米国の製造業と輸出を活性化するため、ドルの価値を全般的に、特にアジア通貨に対して弱くしようとしたとの分析も出ている。円の価値が度を越して下落する場合、米国の製造業および輸出活性化政策に支障が生じ得るため、人為的に円高を誘導したとの解釈である。
政治的背景を為替介入の原因に挙げる見方もある。一部ではワシントンが米国との緊密な関係を維持しつつ日本の軍事力強化を主張する高市早苗新首相を支援しようとの意図を持っているとの分析が出ている。米財務省は昨年、トランプ大統領の同盟者であるハビエル・ミレイ・アルゼンチン大統領を支援するため、アルゼンチン・ペソの価値を引き上げる介入を行った経緯がある。
ウォール街はトランプ政権が円相場に直接介入する可能性まで念頭に置いている。多くの投資家が円を借りて米国株やその他資産を買い付ける取引を行っているため、ドルに対する円相場はウォール街の主要関心事である。円高が急激に進む場合、投資家が既存の取引を解消し、米国株安につながり得るとWSJは指摘した。
ロイター通信によると、英投資銀行バークレイズのアナリストは報告書で「今週のFRBの慎重なタカ派スタンスと堅調な経済指標がドルに一定の下支えを提供し得るが、円市場への潜在的な介入は、すでに弱含むドル資金流入の状況を一段と悪化させる可能性がある」と分析した。
WSJは「円高のための介入は、為替安定基金を活用して公開市場でドルを円に交換する方式を含む可能性が大きい」とし「トレーダーは米国や日本政府が実際に外国為替市場で円を買い入れる介入に踏み切ったのかどうかのいかなるシグナルにも神経を尖らせているが、両国のどちらがいつ、あるいは果たして実行に移すのかはまだ不明だ」と伝えた。