国連のトップが米国の外交歩調を正面から批判した。アントニオ・グテーレス国連事務総長は、米国が国際法より自国の権力と影響力を優先しており、多国間主義への信念自体を失ったかのような態度を示していると指摘した。
グテーレス事務総長は18日(現地時間)にBBCラジオの時事番組に出演し「米国は処罰されずに行動できると信じており、国際法より自国の力がより重要だという明確な信念を持っている」と語った。さらに「法の権力が権力の法に置き換わっている」と表現し、現在の国際秩序の流れを懸念した。
グテーレス事務総長の発言は、最近米国がベネズエラ情勢に介入して現地指導部に圧力をかけ、ドナルド・トランプ大統領がグリーンランドの併合可能性に繰り返し言及した状況を念頭に置いたものと解釈された。グテーレス事務総長は、こうした歩みが国連憲章に明記された加盟国の主権と平等の原則を根本的に脅かしていると強調した。
グテーレス事務総長は「米国の現在の認識は多国間の解決策は意味がなく、重要なのは米国の権力と影響力の行使だということだ」と述べ、「時にはそれが国際法の規範に合致することもあるが、そうでない場合も多い」と語った。
グテーレスは、国連が国際法を守る役割を果たすうえで構造的な限界があることを認めた。グテーレス事務総長は「国連は非常に積極的にグローバルな紛争解決に取り組んでいるが、実際の影響力は強大国が握っている」とし、「問題はその影響力が持続可能な解決策の構築に使われているのか、それとも短期的なつぎはぎにとどまっているのかだ」と反問した。
グテーレス事務総長はとりわけ国連安全保障理事会の機能不全を強く問題視した。現在、安保理は米国、中国、ロシア、英国、フランスの5常任理事国が拒否権を保有しており、このため主要な国際紛争に関する決議が繰り返し頓挫している。グテーレス事務総長は「安保理はもはや今日の世界を代表しておらず非効率的だ」として、構造改革が必要だと主張した。
グテーレス事務総長は「拒否権が個別国家の利益のために濫用されている」とし、「とくに欧州諸国が3議席を占めている現行の構造は正当性を弱めている」と指摘した。続けて、安保理改革によって代表性と正当性を回復すべきだと強調した。
ガザ地区情勢に関しても国連の無力さを認めた。グテーレス事務総長は「イスラエルが国連の救援活動を許可しない場合、国連は何もできない」とし、「停戦と大規模な人道的アクセスが可能なときにのみ実質的な役割を果たすことができた」と述べた。
グテーレス事務総長は最近の国連総会の演説でも「1945年の構造では2026年の問題を解決できない」として、国際機関全般の改革の必要性を重ねて強調した。国際法違反、免責の構造、不平等の深刻化が現在の世界秩序にとって最も重大な挑戦だと評価した。
任期の終了を控えたグテーレス事務総長は最後に「権力者と対峙することを恐れていてはより良い世界をつくることはできない」とし、「国際社会は沈黙ではなく原則を選ばなければならない」と述べた。