米軍が3日(現地時間)ベネズエラを電撃的に空爆しニコラス・マドゥロ大統領を逮捕・移送した中で、背景に関心が集まっている。ドナルド・トランプ大統領は同日午前、フロリダ州パームビーチのマー・ア・ラゴ自宅で記者会見を開き「不法独裁者ニコラス・マドゥロを法の審判台に立たせるための作戦だった」と述べた。トランプはひとまず麻薬問題を表向きの理由に掲げたが、専門家の間では多様な解釈が出ている。
◇ トランプ「致命的な麻薬密売で起訴…司法処分を受けることになる」
トランプ大統領が記者会見でマドゥロ大統領を移送した理由として掲げたのは麻薬密売だ。トランプ大統領は「マドゥロとその妻シリア・フローレスは共に逮捕され、これから米国の司法処分を受けることになる」とし、「マドゥロとフローレスは米国を標的にした致命的な麻薬密売でニューヨーク南部連邦地方裁判所に起訴された」と述べた。
トランプ大統領1期政権当時の2020年3月、米連邦検察は麻薬密売と資金洗浄容疑でマドゥロ大統領を起訴した。現職国家元首を起訴し大きな話題になった。ただし、米国内の薬物死亡原因1位はベネズエラ産コカインではなく中国・メキシコ産フェンタニルである。今回の作戦が麻薬掃討ではなく別の理由のためではないかとの見方が出る理由だ。
◇ 7年前にもマドゥロ追放を試み…「麻薬のためか、政権交代の試みが目的か不明確」
トランプ大統領1期政権で国家安全保障補佐官を務めたジョン・ボルトン前国連大使はニュースネーションのインタビューで「今回の作戦の真の目的が不法薬物問題なのか、それとも政権交代の試みなのか、まだ不明確だ」と語った。
実際トランプ大統領は2019年にもマドゥロ大統領を追放しようとする試みを行ったとされる。こうした計画は2022年、ジョン・ボルトンがCNNのインタビューでトランプ大統領在任期間に米国が外国のクーデター計画を支援したと述べ、知られることになった。
当時ボルトン前長官は2021年1月6日に連邦議会議事堂に乱入した暴動事態について「慎重に計画されたクーデターではない」とし、「ここ(米国)ではなく他地域のクーデター計画を支援した人物として、クーデターは多くの作業を要する」と述べた。司会者が「どのクーデターのことを言っているのか」と問うと、ボルトンは「具体的内容には言及しないが、明らかにある」とだけ述べた。
これに関連し主要海外メディアは、ボルトン前補佐官が2019年のベネズエラのクーデター未遂を指したとの解釈を示した。当時ベネズエラ野党はフアン・グアイド国会議長を擁し、2期目に入ったニコラス・マドゥロ大統領の追放を試みて失敗したが、当時トランプ前大統領はグアイドを支持した。
◇ベネズエラ、世界の原油埋蔵量1位の保有国…米石油企業に利権を与える目的との解釈も
一部では石油を重要な理由に挙げている。ベネズエラは約3030億バレルの石油埋蔵量を保有している。世界の原油埋蔵量1位の保有国である。しかし現在ベネズエラが実際に生産する石油量はこれに比べ極めて少ない。
国際エネルギー機関(IEA)の最新の石油市場報告によると、ベネズエラは昨年11月に日量約86万バレルを生産した。これは10年前の3分の1にも満たない水準であり、世界の石油消費量の1%にも満たない。マドゥロ大統領の前任であるウゴ・チャベス前大統領と、その後のマドゥロ政権が国営石油会社PDVSAへの統制を強化し、経験豊富な従業員が大量に離職したためだ。
米国企業シェブロンをはじめ一部の西側石油会社が依然としてベネズエラで事業をしているが、米国が制裁を拡大し、マドゥロ政権の中核的な経済の生命線である原油供給を遮断しようとする中で、事業規模は大きく縮小した。
一部では米国が原油埋蔵量のためにベネズエラへの主導権を確保しようとしているとの解釈も出ている。最近トランプ政権はベネズエラ沖で麻薬運搬船と疑われる船舶を撃沈し、タンカーを拿捕することもあった。
トランプ大統領は先月17日には記者団と会い「われわれはそこ(ベネズエラ)に多くの石油を持っていたが、彼らはわれわれの企業を追い出し、われわれの権利を剥奪した。それを取り戻したい」と語った。マドゥロ大統領の前任であるウゴ・チャベス政権時にベネズエラが油田を国有化したが、当時現地に投資した米国企業が被った損害を補償させる意図と解釈された。
実際トランプ大統領は記者会見で、ベネズエラの原油産業を再建するため米国の石油企業が乗り出すと述べたりもした。トランプ大統領は「ベネズエラの石油事業は長い間完全に壊れていた」とし、「彼らが生産できた量と実際に生産したものを比較すると、ほとんど何も生産できなかった」と述べた。
続けて「今や世界最大規模の米国の石油企業が数十億ドルを投じ、めちゃくちゃになった石油インフラを整備し、この国に収益を生み始めるだろう」と述べた。トランプ大統領がベネズエラのための収益創出を強調したにもかかわらず、米石油企業に利権を与えるとの解釈になる理由だ。
一方、米国が敢行したマドゥロ大統領の逮捕・移送は現在、国際法違反だという批判を受けている。しかし米国は国際法違反ではない点を主張するため、マドゥロ大統領が米国で5000万ドルの懸賞金が懸けられた刑事裁判の被告人である点を強調している。マドゥロの逮捕の主体も米国国務省だった。