ドナルド・トランプ米政権が麻薬流入と関連犯罪を一掃する名目でベネズエラ近海でタンカー取り締まりに乗り出すなか、両国間の対立がロシアにまで飛び火する兆しを見せている。ロシアが米国にタンカー追跡の中止を求めて乗り出したためだ。
1日(現地時間)、ニューヨーク・タイムズ(NYT)は消息筋を引用し「ロシア政府がベネズエラに向かっていたタンカーに対する追跡を中止してほしいと米国に公式の外交要請を行った」とし、「ロシアの外交的介入は、米国とベネズエラ間の継続的な対立の中で行われたタンカー拿捕の試みを一層複雑化させ得る」と報じた。
米国は先月21日からカリブ海でベネズエラへ移動していたタンカー『ベラ1号』を追跡している。当初、米沿岸警備隊はベラ1号が有効な国旗を掲げていない事実を確認した後、国際法に基づき臨検が可能だと判断して船舶に接近した。しかし当該船舶は沿岸警備隊の要求に応じないまま航行を続け、現在に至るまで米国と追跡戦を繰り広げている。
その後先月末、ベラ1号の乗組員はタンカー側面にロシア国旗を描き入れ、米沿岸警備隊に対し自分たちがロシア管轄のタンカーとして航行中だと無線連絡した。最近、ロシアの公式船舶登録簿にベラ1号が『マリネラ号』という名称で登録された事実が確認されたとNYTは伝えた。
匿名のトランプ政権関係者は「当該タンカーは沿岸警備隊が接近した当時、偽装旗を掲げていたため、現在も『無国籍船舶』と見なしている」と明らかにした。国際法上、ベラ1号がロシアの保護を受けることは事実上不可能だとの評価が出ている。
デービッド・タネンバウム元米財務省制裁遵守担当官も「ロシアが当該船舶に提供した『一夜にしての旗登録(overnight flag registration)』が有効と認められるかは不透明だ」と述べた。
トランプ政権はニコラス・マドゥロ・ベネズエラ大統領を圧迫するため10日からタンカー封鎖措置を実施してきており、地上戦の可能性まで取り沙汰されている。ベネズエラはこれに対抗し、自国を離れる一部タンカーを護衛するよう海軍に命じ、国連安全保障理事会に「米国の継続的な侵略行為」を議論するための会合招集を要請したこともある。
ロシアはベネズエラの中核的な友好国で、ニコラス・マドゥロ政権への支持を公然と表明してきた。ロシア外務省は先週、ベネズエラとロシアの外相間の通話で、ロシアが「ベネズエラ指導部と国民に対する全面的な支持と連帯を再確認した」と明らかにした。
ロシアの介入により、米国とロシア間の緊張が一段と高まる可能性も大きくなっている。NYTは「今回のタンカー紛争は、ロシアとウクライナ間の和平交渉を試みるトランプ大統領が戦争終結を実現できていない点について繰り返し不満を表明する中で発生した」とし、「ロシアが米国に当該船舶に対する追跡中止を要請したことは交渉に新たな変数を加え、ベネズエラを巡る両国間の緊張を一層高め得る」と伝えた。