米国の建設用中大型機械サプライヤーであるキャタピラーが今年、ダウ工業株30種平均の構成銘柄の中で最も高い株価上昇率を記録し、その背景に関心が集まっている。年初来で株価が約60%急騰したキャタピラーは、米国の伝統産業を象徴するダウ30の構成銘柄だが、足元では人工知能(AI)活用拡大への期待が高まり、AI関連株としても再評価され上昇が際立ったとの評価だ。
30日(現地時間)、ウォールストリート・ジャーナル(WSJ)は「数年にわたりキャタピラーは巨大な黄色のダンプトラックやブルドーザーなど鉱山・建設機械を中心に650億ドル(約94兆ウォン)規模の事業を築いてきた」とし「しかし最近ではAIプロジェクトを支えるためのデータセンター投資が急増し、キャタピラーの電力・エネルギー事業部門が最も成長の速い売上部門として浮上した」と報じた。
WSJによるとキャタピラーの株価は年初来で62%上昇し、S&P500指数の上昇率を3倍上回る水準だ。年初に364ドル(約53万ウォン)台で取引されていたキャタピラー株は、今年最後の取引日である31日に578.61ドル(約84万ウォン)で取引を終えた。
キャタピラーは、もう一つの主力事業であるタービンエンジンと発電機部門を通じてAIブームの恩恵を受けている。雨後の筍のように増えるデータセンターが膨大な電力需要を賄えず、現地で自家発電に乗り出して発電機を大量導入しているためだ。こうした流れの中で、発電機の競合であるカミンズとGEベルノバの株価も今月に入り史上最高値を更新した。
米ユタ州でデータセンタープロジェクトを進めるジュール・キャピタル・パートナーズの共同最高経営責任者(CEO)であるデービッド・グレイは「多くの地域で電力網がすでに限界に達している状況のため、現場で直接電力を生産しようとしている」とし「キャタピラーは当社にとって極めて重要なパートナーだ」と語った。
ジュール・キャピタルは、ユタ州全体の電力使用量の約4分の1を消費すると見込まれるこのデータセンタープロジェクトのため、キャタピラーから700台を超える天然ガス燃料発電機を購入する予定だ。WSJは「ジュールのプロジェクトのような電力消費が大きいAIプロジェクトがキャタピラーには追い風として作用している」と伝えた。
発電機需要の急増に伴い、キャタピラーは約15年ぶりとなる最大規模の工場投資に踏み切っている。キャタピラーはインディアナ州ラファイエット工場に7億2500万ドル(約1兆500億ウォン)を投じ、発電機用ピストンエンジンの生産を拡大する一方、2030年までにタービンエンジンの生産能力を2倍超に引き上げる計画だ。
WSJは「近年、収益性改善のために工場を閉鎖しコスト削減に注力してきたキャタピラーにとって、今回の投資は重要な転換点だ」と評価した。
当面、キャタピラーの事業見通しは明るいとの見方が出ている。国際エネルギー機関(IEA)によれば、世界のデータセンターの電力需要は2035年までに3倍に増加すると見込まれる。これに伴い、キャタピラーの発電機需要も着実に伸びると予想される。キャタピラーは電力・エネルギー事業部門の年平均売上成長率が2030年までに5〜7%に達すると見込んでいる。
ジョー・クリード・キャタピラー最高経営責任者(CEO)は「これまでキャタピラーで数多くの生産能力拡張を経験してきたため、確実なことはないという点をよく理解している」としつつも「今回の拡張はこれまでになく明確な需要見通しに基づいている。生成AIの登場はキャタピラーの事業に明確な転換点をもたらした」と述べた。