米国経済が予想より高い成長を続ける一方で、大企業と小企業の格差は急速に拡大していることが明らかになった。経済変化に対応する能力が相対的に不足する小企業は、ドナルド・トランプ政権の関税政策と移民取り締まり強化の影響で大きな打撃を受けている。
25日（現地時間）、ウォールストリート・ジャーナル（WSJ）は「低所得層と高所得層の米国人の経済的格差が次第に広がっており、この様相は企業間でも明確に表れている」とし、「小企業は数年にわたる高インフレと一段と慎重になった消費動向、そこに関税負担まで重なり収益性が悪化してコスト削減に動いている」と報じた。
小企業のコスト削減の動きは雇用削減につながった。民間労働市場調査会社ADPの報告によると、直近6カ月の間に従業員数50人未満の民間企業は継続的に雇用を減らし、11月だけで小企業の雇用が約12万件減少した。これは2023年3月以降で最大の減少幅である。
一方、同期間に従業員数50人以上の企業では約9万人の雇用が増加した。規模別に見ると、従業員数50〜499人の中堅企業で約5万1000人、従業員数500人以上の大企業で約3万9000人の雇用が増えた。さらに金融情報会社LSEGによると、S&P500指数に含まれる大型上場企業の今年第3四半期の純利益は前年同期比12.9%増となるなど、大企業は通年の収益も大幅に改善した。
WSJは「米国経済において地域基盤の小規模事業体の健全性は極めて重要だ」とし、「従業員数500人以下の小企業は米国全体の労働力のほぼ半分を雇用し、国内総生産（GDP）の40%以上を占める」と指摘した。これは小企業の経営難が米国の雇用市場と経済全般に相当な負の影響を及ぼし得ることを意味する。
小企業の困難を加重する要因としてはトランプ政権の関税政策とインフレが挙げられる。中小企業向け給与管理会社グストのアンドリュー・チェンバレン主任エコノミストは「小規模小売業者が特に関税の不確実性と継続するコスト圧力で大きな苦境にある」と述べ、「10月と11月はいずれも中小企業で人員削減があり、小売と専門サービス部門の減少幅が最も大きかった」と説明した。
小企業の現場で体感する景気状況はさらに悪化している。アイオワ州シダーレピッズに本社を置くポップコーンブランド「オールモスト・フェイマス・ポップコーン」を運営するシドニー・リークホフ代表は「例年なら年末商戦に備えて10〜15人を採用したが、今年は4〜5人にとどまった」とし、「消費者が支出に一段と慎重になった」と語った。同社は年末に年間売上高の約60%を上げるが、この期間に雇用人員を減らしたということは期待売上がそれだけ低いという意味である。
ラスベガスに本社を置く「トータル・プロモーション」も、衣料・ペン・バッグなど中小企業向け販促品を製造するために必要な輸入品に課された関税で経営に困難を抱えていると明らかにした。ブランデン・ミルソン、トータル・プロモーション最高経営責任者（CEO）は「関税の請求書を受け取って以降、一部の作業では利益を出すどころか損失が生じる場合まで発生した」と述べ、結局は需要減少とコスト増加により正社員1人を解雇したと伝えた。
インフレが長期化し、小企業の経営見通しも暗くなっている。ロサンゼルスで「タブラ・ラサ・バー」を運営するジャック・ネギン代表は、関税によりワインとチーズ、機器部品の価格が上がったうえ、人件費、賃料、保険料まで急騰したとして「この事業を運営した過去10年間で、今のように先行きに自信が持てなかったことはない」と語った。