米国ドナルド・トランプ政権の中枢にいた要人が、韓国国会と公正取引委員会が進めるクーパン規制の動きを強く批判した。自国企業に向けた差別的措置が、トランプ大統領が力を注いだ韓米の貿易均衡の努力を損なう可能性があるとの警告である。クーパンの顧客情報が大量流出した事態をめぐり韓国政府の対応が続くなか、本件が韓米間の通商摩擦に発展する兆しを見せている。
ドナルド・トランプ政権1期で安保の司令塔を務めたロバート・オブライエン前国家安全保障担当大統領補佐官は23日(現地時間)、自身のXアカウントで韓国国会がクーパンを攻撃的に狙い撃ちしていると主張した。オブライエン前補佐官は「ドナルド・トランプ大統領は韓国との貿易関係で均衡を回復しようと多くの努力を傾けた」とし、「韓国が米国のテック企業を標的にしてこの努力を妨げるなら、極めて遺憾な事態となる」と述べた。
オブライエン前補佐官は、韓国国会の動きが公正取引委員会の差別的措置と米国企業に向けた広範な規制の壁を築く踏み台になると見通した。続けて「米国企業が公正な待遇を受けるよう保障し、当該分野で拡大する中国経済の影響力に対抗して戦略的均衡を維持するには、米国の強力で一貫した対応が不可欠だ」と付け加えた。事実上、トランプ政権としての直接的対応を促した発言である。
専門家は、オブライエン前補佐官の発言が単なる個人的意見を超え、トランプ政権内の全般的な見方を反映していると分析する。米国政財界では、クーパン事案を自国ビッグテック企業に対する不当な規制と認識する雰囲気だ。
クーパンは韓国で大半の売上を上げているが、米国デラウェア州に登録されたニューヨーク証券取引所上場法人であるクーパンINCが韓国法人の持分を100%保有する米国企業である。クーパン側は米国政界を対象に活発な渉外活動を展開してきた。クーパンINCは1月にトランプ大統領の就任式に100万ドルを寄付した。過去5年間に米国で合計1039万ドル(約150億ウォン)をロビー資金として使用した。
米国政界からも韓国政府に圧力をかける声が出ている。共和党のダレル・アイサ下院議員は16日の下院公聴会で「韓国国会が米国企業をいじめる行為は、深刻な外交・経済的結果を招きうる」と警告した。一部米メディアは、韓国国会の公聴会で与野党議員がクーパンの暫定代表であるハロルド・ロジャースに個人的な侮辱を浴びせたと報じ、批判的な空気を伝えた。
実際、韓米両国の間ではデジタル規制をめぐる亀裂が感知される。今月米国で開催予定だった年次の韓米自由貿易協定(FTA)共同委員会は電撃的に中止された。業界では、両国がデジタル規制をめぐって示した見解の相違が会議の中止につながったとの分析が出ている。次期通商トップであるジェイミソン・グリアー通商代表部(USTR)代表も、韓国の競争当局が米国企業を不当に扱っているとの認識を持つ人物として知られる。
公正取引委員会は、クーパンの顧客情報3370万件流出事態に関連し、営業停止の可能性まで言及して強硬な姿勢を示している。だが米国側は、韓国政府がオンラインプラットフォーム法案などを通じて中国企業に有利な環境を整えようとしていると疑っている。外交・通商摩擦に発展しないよう、政府が通商と競争当局のレベルで事前に状況を管理すべきだという指摘が出る理由である。
韓国政府は、韓米FTA共同委員会は中止ではなく延期であり、年明けの開催に向けて建設的な協議を続けているとの立場だ。しかし、米国内で強硬な空気が確認された以上、今後クーパンを含む米国テック企業の規制をめぐる韓米間の緊張は一段と高まる見通しである。