10日午前、中国内陸の鄭州にあるBYD(比亜迪)のレーシングパーク。BYDの"億台"プレミアムブランド「仰望」の電動スポーツユーティリティ車(SUV)モデルU8に乗り、水深1.5mの水中へ向かった。水がタイヤの高さまで達した時は、タイヤが力強く水路を「かき分けて進む」と感じたが、やがてボンネットの上まで水に浸かると、自動車ではなく船に乗っているような感覚を覚えた。

水位が深くなると案内音声とともに窓とサンルーフが自動で開き、水中で左右に動くタイヤはまるで櫂をこぐようだった。沈黙していた水中動力装置も作動を開始した。車内には水が一滴も入り込まなかった。現場関係者は「浸水などの危機状況に備えて開発した技術だ。約2時間ほど水中に留まれる」と述べ、「スマートフォンの防水技術が車体に適用され、自然に水に浮くことができる」と説明した。

BYD 양왕(仰望) U8이 수심 1.5m 수조에서 물에 뜨며 운항되는 모습. /정저우(중국)=이은영 특파원

大型水槽の横にはスキー場で見るような急勾配の砂丘がそびえていた。水中を走行していたU8は砂を巻き上げながら丘を上り下りした。この丘は垂直高さ29.6m、勾配28度に達し、ギネス世界記録を保有している。会社関係者は「急勾配の砂丘を直進で上り下りできる強い力に加え、急角度でもUターンが可能な精緻な技術もU8の特長だ」と説明した。関係者によると、仰望U8は中国内需市場向けとして現在108万元(約2億3000万円)で販売している。海外販売は中東市場に先に挑戦状を叩きつける予定だ。

BYDヤンワンU8が砂丘を走行する様子。砂丘は垂直高29.6m、傾斜28度でギネス世界記録を2件保有している。/ジョウシュウ(中国)=イ・ウンヨン特派員

◇専用輸出車庫まで整備…鄭州特区の中心、BYD

鄭州航空港経済特区の新エネルギー車産業団地の造成が加速している。100平方キロメートル規模を目標に急速に拡張しているこの団地はBYDを中核とする。BYD鄭州工場は37日で着工し、17カ月で量産を開始、50秒ごとに完成車1台、3秒ごとにバッテリーセル1個を生産している。この工場はBYDの工場の中でも規模と生産能力が大きい。2023年の本格稼働以降、累計生産台数は100万台を突破し、河南省の新エネルギー車生産の80%以上を占めている。

その背景には高度な自動化工程がある。組立工場に入ると巨大な垂直構造が目を引いた。縦に高く組まれた鉄骨の天井レールには、まるでクレーンゲームの爪のような大型のグリッパーが取り付けられ、滑車が上下しながら車体を上下に運んでいた。工程を終えた車体がコンベヤーベルトで出てくると2階へ持ち上げられ、天井に取り付けられたグリッパーが車体をつかんでレールに載せ、次工程へ移動する仕組みである。

人の介入は組立工程の最終段階であるボンネット・タイヤの組み付けと目視検査の過程で見られた。遅くて巨大なコンベヤーベルトに載り検査工程を終えた車体は、連続して設置された数十個の段差を踏みながら走行検査を経た後、工場内に整然と駐車された。

特区にはBYD車の輸出に向けた物流拠点も別途整備された。同日午後に訪れた鄭州国際陸路港の西作業区域では、内需販売用のトヨタ車が貨物列車から降ろされ入庫されており、列車の反対側にはBYD専用エリアが果てしなく続いていた。フェンスで囲われた区域内には輸出を待つBYD車が際限なく駐車されていた。いずれもここ鄭州空港で製造された車両だ。ここから貨物列車に載せられ、欧州などへ輸出される。

10日午後、ジョウシュウ国際陸路港の西作業区域にあるBYD専用区画で、近隣工場で製造されたBYD電気自動車が貨物列車での輸送を待機している。/ジョウシュウ(中国)=イ・ウンヨン特派員

◇中国最大のコンピューティングセンター・国産CPUを基盤に…IT生態系の自立を加速

グラフィック=ソン・ミンギュン

鄭州航空港経済特区は電気自動車だけでなく、数兆元規模の情報技術(IT)産業クラスターも構築している。スマートフォン製造から半導体、サーバー、コンピューティングセンターまでを包含し、中国産中央処理装置(CPU)と人工知能(AI)の演算能力を基盤に独立した技術生態系を形成している。

9日午前に訪れた「河南航空港コンピューティングセンター(以下、センター)」は、中国中部地域で最大規模の人工知能(AI)コンピューティングセンターで、300億元(約6兆ウォン)以上が投資された。総演算能力は中国最大の1万ペタフロップス(P)に達する。自社の大規模モデルを開発すると同時に、パートナー企業のモデルも運用する。センターにはH100、B100、B200などエヌビディアのグラフィックス処理装置(GPU)が10万個搭載された。世界のAI市場を先導しているイーロン・マスクのxAIが約20万個のGPUを保有していることに照らすと、相当な量である。

センターはこの巨大な演算能力を基に、政府・公共機関向けAIを開発している。監査、消防、民願(住民からの要望・申請)などの分野でAIエージェントを自社開発し、鄭州航空港経済特区の監査局と消防隊が実際に使用中である。その中の「AI監査院」は中国国家審計署が提供した30万件の監査報告書データを基盤としており、全国への普及を計画している。センター関係者は「われわれの目標は中部地域最大の『AI知能体工場』をつくることだ」と語った。

今月9日、河南航空港コンピューティングセンターの管制室で関係者が施設の構造を説明している。/ジョウシュウ(中国)=イ・ウンヨン特派員

近隣にはCPUメーカーの龍芯中科(以下、龍芯)も入居している。コンピューターの頭脳であるCPUはインテルとAMDが市場を二分しているが、龍芯はこれを国産化することに成功し、グローバル企業を急速に追走している。2001年の研究プロジェクトから始まった龍芯は、中央政府の手厚い支援を受けて迅速に技術蓄積を果たし、2010年代に市場へ本格参入、2022年には中国産CPU第1号企業として科創板に上場した。

9日午前に訪れた龍芯の中原本部で、会社関係者はインテルCPUとの性能比較を実演した。龍芯の2023年CPUと自社開発OS、インテルの2020年CPUとWindows 10の比較だった。50MBの文書を開くのに、龍芯は1秒もかからず、インテルは3秒以上かかった。龍芯とインテルのCPUモデルの発売時期が異なり技術力を比較しにくかったが、関係者は「中国産CPUとグローバル大手のCPUとの性能格差が縮まったことを証明する」と述べた。

同社によると、龍芯の最大の特徴は独自の命令セット体系を保有している点だ。龍芯の関係者は「命令セット体系を保有すれば情報産業全体の体制を構築できる。生態系の根幹だからだ」とし、「インテル体系とARM・アンドロイド以外に、われわれは必ず独自の体系を構築しなければならない。龍芯がこれを構築し、技術生態系の独占を打破したい」と述べた。

ジョウシュウ航空港経済特区にある中国CPUメーカー「ロンシン」の主力製品。/ジョウシュウ(中国)=イ・ウンヨン特派員

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