ドナルド・トランプ大統領政権が性犯罪者で故人のジェフリー・エプスタインに関する捜査資料を公開する過程で、核心内容を削除したとの疑惑に包まれている。
とりわけトランプ大統領が含まれた写真など特定の記録が漏れていた事実が明らかになり、与野党議員がパム・ボンディ法務長官に対する議会侮辱罪の適用を推進するなど、政治的な波紋が拡散している。
21日(現地時間)ワシントン・ポスト(WP)とCBSによると、ドナルド・トランプ政権は11月に施行された「エプスタイン・ファイル透明性法」に基づき、19日までに関連捜査資料を全面公開しなければならなかった。しかし法定の公開期限を過ぎたうえ、資料の一部を故意に削除したとの批判を受けている。法務省がこれまでウェブサイトで公開した資料は約10万ページに達するが、このうちトランプ大統領の姿が写った写真など少なくとも16件の記録が削除されたことが確認された。
今回の論点の核心は資料公開の公平性と透明性である。法務省はトランプ大統領に関する資料には厳格な基準を適用して削除する一方、民主党出身のビル・クリントン元大統領が女性たちと一緒にいる写真は複数枚公開した。民主党はこれを法務省の党派的措置だと規定し、強く反発している。ハキーム・ジェフリーズ民主党下院院内総務はABCのインタビューで「法務省の文書提出が、法律が明確に要求した水準に達していない理由について、完全かつ徹底した調査が必要だ」と強調した。
与党の共和党内からも批判の声が出ている。該当法案を共同提出したトーマス・マッシー共和党下院議員はCBS「フェイス・ザ・ネイション」に出演し「法務省が法律の精神と文言を露骨に無視している」と述べ、「ロー・カナ民主党下院議員と共に、パム・ボンディ法務長官に対する議会侮辱罪の適用を検討中だ」と明らかにした。マッシー議員は、法務省の今回の措置は被害者を侮辱する行為だと付け加えた。
法務省は直ちに火消しに乗り出した。トッド・ブランシュ法務副長官はNBCのインタビューで「議会からの脅しを深刻に受け止めない」として強硬な姿勢を示した。法務省は「被害者保護と個人情報削除の手続きを進めるため、さらに時間が必要であり、今後数週間にわたり数十万件のファイルを追加公開する方針だ」と説明した。しかし公開された資料の中には、既に大衆に知られた内容以外に新たな真相解明に資する核心情報が乏しいとの評価が支配的だ。
トランプ大統領にとって今回の事案は痛手となる可能性が大きい。トランプ大統領は大統領選期間、エプスタイン事件の背後に既得権勢力がいると主張し支持層を結集した。しかし再登板後、資料公開に消極的な姿勢を見せる中で、核心支持基盤である「MAGA」陣営内でも疑念が強まっている。ランド・ポール共和党上院議員は「完全な公開が実現しなければ、この問題は今後数カ月にわたり政権を悩ませるだろう」と警告した。
時事週刊誌タイムによると、エプスタインは既に1996年に未成年者性搾取容疑でFBIに通報されている。トランプ大統領も2000年代初頭までエプスタインと私的な集まりを持っていた事実が公然と知られている。トランプ大統領が犯罪に直接関与した証拠は出ていないものの、政権の「選別的な記録公開」が続くほど、トランプ大統領に向けた政治的攻勢と疑念はいっそう強まると専門家は見通した。