ドナルド・トランプ米大統領の最側近であるスージー・ワイルス大統領首席補佐官が、トランプ大統領を「アルコール中毒者の性格」の持ち主と表現したインタビュー記事が16日(現地時間)に公開され、波紋が広がっている。
米大衆文化月刊誌バニティ・フェアはこの日、ワイルス首席補佐官と今年のトランプ大統領の2期目就任式直前から最近まで11回にわたりインタビューを行ったとして、こうした内容の記事を公開した。
記事によれば、ワイルス首席補佐官はトランプ大統領について「アルコール中毒者の性格を持っている」とし、「彼は自分にできないことはないという見方で行動する」と述べた。米プロフットボール(NFL)のスター出身でアルコール中毒を抱えて生きた父親を持つワイルス首席補佐官は「こうした人々の性格は酒を飲む時に誇張される」とし、「だから自分は強い性格の持ち主についてある程度の専門家だ」と語った。
ワイルス首席補佐官は、トランプ大統領就任後の1・6連邦議会襲撃事件関連者の恩赦について「選別的恩赦」を提案したが受け入れられなかったとした。しかし結局はトランプ大統領の決定に「ある程度同意するようになった」と述べた。あわせて、トランプ大統領の政敵および政治的反対者に対する起訴などについては「報復はしていないと思う」と述べたが、その後レティシャ・ジェームズニューヨーク州司法長官を融資詐欺容疑で捜査することについては「それは一つの報復になり得る」と認めた。
司法府で一部ブレーキがかかった不法移民の追放については「手続きをさらに検討すべきという点は認める」とし、「疑問があるなら再検証の方向に傾くべきだ」と述べた。トランプ2期政権発足後の不法移民に対する大規模な追放作戦当時、米国人の子どもを持つ女性を強制送還したことについては「どうしてそのようなミスが起き得るのか理解できないが、誰かがそうした」と指摘した。
ワイルス首席補佐官は、トランプ大統領が4月に各国に課した相互関税をめぐっても、側近らの間で「良い政策なのかについて甚だしい意見の不一致があった」と伝えた。ワイルス首席補佐官は「われわれはトランプ大統領に『今日は関税の話はやめよう。チームが完全に一致を見るまで待ってからにしよう』と提案した」とし、トランプ大統領が結局相互関税を発表したことについて「予想より苦痛だった」と述べた。
トランプ政権の高官に対する歯に衣着せぬ批判発言も話題だ。ワイルス首席補佐官はJD・バンス副大統領について「10年間陰謀論者だった」とし、同氏がトランプへの批判者から積極的支持者へ転じたのは「一種の政治的理由のため」だと述べた。また、イーロン・マスク・テスラ最高経営責任者(CEO)を「自称ケタミン使用者でとても、とても変人だ」と評価し、「天才にありがちな奇妙な人物だ」とした。続けて、マスクが政権序盤に国際開発庁(USAID)廃止などを主張した際、ホワイトハウスに呼び厳重に警告した逸話も明らかにした。
トランプ大統領の最側近でありホワイトハウスの「最高実力者」と呼ばれるワイルス首席補佐官は、めったに対外メッセージを出さないことで有名だ。このため、胸の内をすべて打ち明けたかのような今回のインタビューは極めて異例だと評価される。ニューヨーク・タイムズは「極度に無防備な(extraordinarily unguarded)インタビュー」と評した。
トランプ政権の高官はもちろん、トランプ大統領に対する率直な評価が論争となると、ワイルス首席補佐官は当該記事に紹介された自身の発言がつぎはぎだと主張した。ワイルス首席補佐官は自身のX(旧ツイッター)に「今日未明に公開された記事は、私と最高の大統領およびホワイトハウス職員、内閣を対象に不誠実に作り上げられた悪意ある記事だ」とし、「重要な文脈は無視され、私や他の人々がチーム(トランプ政権)と大統領について言及した相当部分が漏れた」と主張した。