ドナルド・トランプ米国大統領がマイアミ都心に「トランプ大統領図書館」建設を推進し、用地選定過程や資金調達方式、利益相反などをめぐる論争が拡大している。
14日(現地時間)のワシントン・ポスト(WP)によると、トランプ大統領の次男エリック・トランプが最近、大統領図書館建設に関する具体的な計画を相次いで公開している。先に保守系論客グレン・ベックのポッドキャストに出演し「フロリダで最も優れた用地を確保した」と明らかにし、続く別のインタビューでは「メディアとの訴訟の和解金でフェイクニュース展示館(fake news wing)を作れ」という提案に同意する趣旨で発言したという。
これについてWPは、トランプ大統領図書館が従来の大統領図書館とは全く異なる性格の記念館になり得ると指摘した。先に米政治メディアのポリティコは、この図書館がマイアミに建設される予定で、ホテルやルーフトップレストラン、展望台などを備えた47階建ての建物として推進中だと明らかにしたが、商業性を追求するこうした構想は通例の大統領記念館とは隔たりが大きいためである。
米国で大統領図書館を設立することは長い伝統として定着してきた。1940年のルーズベルト大統領図書館を嚆矢に13の大統領記念図書館が設立され、2017年に退任したバラク・オバマ前大統領の記念図書館もシカゴ南部で建設が進行中である。完成した図書館は関連法により国立公文書記録管理局(NARA)傘下の大統領記念図書館局の管理を受けることになる。
しかしトランプ図書館は用地選定から一度論争を呼んだ経緯がある。ポリティコによると、図書館が入るマイアミの用地は米プロバスケットボール(NBA)の本拠地近くで、用途規制が厳しくないため公示地価に比べ5倍高い相場を記録してきた。この土地はもともとマイアミ・デイド大学の所有だったが、大学の理事が9月に州政府へ無償譲渡することを決め、図書館用地として最終確定したという。
資金源についても不透明だとの指摘が出ている。大統領記念図書館法によれば、大統領図書館は一定面積以上の場合、総建設費のうち20%を寄付金で賄わなければならないが、財団が寄付者名簿を公開していないためである。図書館建設を主催するドナルドJトランプ図書館財団が最近提出した納税申告資料によると、同財団は今年、総額5,000万ドルの募金額を計上したが寄付者名簿を公開せず、「プログラムサービス」名目で600万ドルを支出したにもかかわらず具体的な使用内訳も明らかにしなかった。
図書館の運営方式にも疑問が強まっている。大統領図書館はNARAの監督下で大統領記録の研究と展示の機能を担うことになるが、トランプ大統領側が民間財団の運営方式を選ぶ場合、展示内容が政府の検証を経る必要がないためである。この場合、トランプ大統領側が2020年大統領選の結果不服など論争になり得る事案に関し、偏った資料を展示しても政府は特段の制裁を科すことができない。
利益相反の論争も拡大している。トランプ大統領はカタール王室から総額4億ドル相当のボーイング747-8型機の寄贈を受け、図書館に引き渡す計画に言及し、▲Meta(メタ)(2,200万ドル)▲CBS(1,600万ドル)▲ABC(1,500万ドル)▲X(旧ツイッター)などメディア・プラットフォーム企業との訴訟の和解金も図書館基金に活用することを示唆したためである。
これを受けて民主党は、大統領在任中の図書館向け資金集めを制限し、外国政府・ロビイスト・連邦契約業者などからの寄付を一定期間禁ずる「大統領図書館反腐敗法」まで発議した状況だ。
専門家はトランプ大統領図書館が大統領記念館の趣旨を損ない得ると懸念する。ティム・ナフタリ・コロンビア大学国際公共政策大学院の上級研究員は「監督のない博物館は大統領の任期を歪曲して叙述する危険がある」と述べ、「とりわけ『フェイクニュース展示館』のような構想は無党派の専門家が受け入れるのは難しいだろう」と指摘した。