「経済状況に余裕がないせいか、今回のクリスマスは例年と雰囲気が違う。小さく、必要なものだけを買っている」
米ロサンゼルスに居住する学校カウンセラーのシャーリー・スピレイン(26)は、今年のクリスマスシーズンに向けて200ドルの贈り物予算を確保したと明らかにした。夫には車用はたきを、叔母にはジャムを贈る計画だ。スピレインは「物価と家賃、公共料金がすべて上がり、支出を減らさざるを得ない」と述べ、「今年の年末の贈り物はすべてディスカウントストアで購入する」と説明した。
関税などの影響で高インフレ環境が続き、米国家計の年末消費の様相が変わっている。従来はブラックフライデー(11月28日)、サイバーマンデー(12月1日)を機に高額商品の購入傾向が強かったが、最近は実用性とコストパフォーマンスの面で効用が高い商品が人気を集めているということだ。
14日(現地時間)のワシントン・ポスト(WP)によると、米国の消費者は年末を迎え、家電や家具など必需品中心の消費を続けている。物価上昇率自体は今年に入りいくぶん鈍化したものの、体感景気は依然として厳しい水準にとどまっているためだ。消費者は割引情報を探し回り、超低価格の比較により多くの時間を割いており、年末の贈り物の費用と対象を絞るなど、緊縮財政に動いているとみられる。
実際に必需財の購入比重は明確な増加傾向を示している。アドビアナリティクスによると、今年のサイバーマンデー当日の冷蔵庫・冷凍庫のオンライン販売は10月平均比で1700%急増し、▲掃除機(1300%)▲小型キッチン家電(1250%)▲調理器具(950%)▲電動工具(900%)などが急激な販売増加率を記録した。
ビベック・パンディア、アドビ・デジタル・インサイトのディレクターは「上位の購入品目の多くは事実上の必需品だ」とし、「消費者は全般的な経済環境を意識して極めて戦略的に買い物をしている」と語った。
階層別の変化も感知される。低所得層と中間層は支出そのものを減らしており、高所得層は高級ブランド店ではなく流通チャネルへ移る『ダウングレード消費』が現れているという。コンシューマーエッジが1億件以上のカード取引を分析した結果、今年の年末の百貨店売上は前年比10%減少し、高級衣料ブランドの売上も約5%減少したとみられる。
一方で『米国版ダイソー』と呼ばれるダラーストアなどのディスカウント店は盛況だ。ダラーツリーの場合、今年第3四半期の流入顧客の約60%が年収10万ドル以上の高所得層と集計され、ダラージェネラルも第3四半期ベースで店舗売上が2.5%増加した。ダラージェネラルの最高経営責任者(CEO)であるトッド・バソスは「高所得層の比率が不均衡に大きくなっている」と説明した。
専門家は、米国の消費者がディスカウント店と倉庫型量販店を積極的に活用しつつ、総支出額は小幅に増えたものの購入品目数は減らしているとみる。全米小売業協会(NRF)によると、今年の流通業界の年末売上は約4%増加する見通しだが、これは昨年(4.3%)より低い数値で、2021年(13%)と比べても明確な減速である。
調査会社カンタのメアリー・ウィットフィールド上級副社長は「米国の消費者はより実用的な思考を身につけている」とし、「とりわけ政府機関の一時閉鎖(政府シャットダウン)以降、この傾向が一段と強まったようだ」と分析した。