中国の製造業動向を示す産業生産と、内需の指標である小売売上高の増加率が11月に年内最低となった。とりわけ小売売上高は新型コロナウイルスのパンデミック以降で最低を記録し、不動産など投資関連の指標も危機を脱していない。専門家は画期的で、なおかつより長期的な新たな対策が必要だと口をそろえた。
中国国家統計局(NBS)は15日午前(現地時間)に11月の主要経済指標を発表した。産業生産は前年同月比4.8%増だった。これは前月(4.9%増)から鈍化したもので、ロイターが集計した市場予想(5.0%増)を下回り、昨年8月以降で最も小さい伸びとなった。
3大主要産業の付加価値(前年同期比)は、鉱業が6.3%増、製造業が4.6%、エネルギー業が4.3%増だった。
41の主要産業部門のうち30部門が前年同月比で増加した。自動車製造業11.9%、鉄道・造船・航空宇宙および運送装備製造業11.9%、コンピューター・通信・電子機器製造業9.2%、石炭採掘・選炭業7.5%、一般機械装置製造業7.5%、化学原料・製品製造業6.7%、石油・ガス採取業5.1%などである。同期間に非金属鉱物製品業(-1.8%)、ワイン・飲料・茶製造業(-0.6%)などは減少した。
11月の小売売上高は大型ショッピング祭典「独身の日(光棍節)」があったにもかかわらず1.3%増にとどまった。前月(2.9%増)から大きく縮小し、ブルームバーグが集計した市場予想(2.9%増)を大きく下回った。これは2023年12月(1.8%減)以降で最も低い伸びであり、中国の小売売上高の増加率は5月以降6カ月連続で低下している。
ブルームバーグは、11月の小売売上高の伸びが「新型コロナのパンデミック期を除けば過去最低」だとしたうえで、「消費の鈍化は自動車販売の不振に加え、独身の日のプロモーションが例年より早く始まり需要が10月に前倒しされた影響を受けた」と報じた。さらに「年末から中国政府がショッピング補助金の支給を開始したことで前年同期の消費が増えた反動(ベース効果)の影響もある。補助金政策が追い風から向かい風に変わったことによる現象だ。来年は補助金政策を新たな品目に拡大するか、新たな消費促進が必要だ」と分析した。
1〜11月の固定資産投資は2.6%減り、11月の全国失業率は5.1%で前月と同水準を維持した。
中国経済を揺さぶっている主要要因である不動産市場も悪化の一途だ。大手不動産会社のワンコー(萬果・Vanke)がデフォルトリスクに陥るなか、1〜11月の不動産開発投資額は前年同期比15.9%減少した。このうち住宅投資は15%減った。中国の不動産デベロッパーの資金調達額は11.9%減少した。
ロイターによると、11月の住宅価格は前年同期比2.4%下落し、前月(2.2%下落)より下げ幅を拡大した。住宅価格の下落は来年も続く見通しだ。シティグループはリポートで「2026年の中国住宅市場は厳しい現実に直面する可能性が高い」とし、流動性の改善がなければ来年の中国住宅販売がさらに11%減少すると見込んだ。ジョン・ラムUBSグループ中国不動産リサーチ責任者も、中国の住宅価格は少なくとも2年は下落基調を続けると予想した。
ブルームバーグによれば、オーストラリア・ニュージーランド銀行(ANZ)のレイモンド・ヤン中国担当チーフエコノミストは「中国経済は不動産の縮小と小売の鈍化が同時進行している」と述べ、「この趨勢は内需振興を強調する政府メッセージと矛盾する。当局は2026年に画期的で包括的な措置を講じる必要がある」とした。これに関連し、国家統計局は中国政府がより積極的なマクロ経済政策を基盤に内需拡大を継続し、供給を最適化するとの見解を示した。