欧州が14世紀のペスト流行以降、約700年ぶりに初めて自然減に直面している。国連と欧州連合(EU)の統計機関ユーロスタットでさえ、EUの人口は来年にピークを付けた後、減少を続けるとの公式見通しを示し、欧州全域で労働人口の消失と人口減少による景気後退への懸念が広がっている。
13日(現地時間)、ワシントン・ポストは「欧州が人口減少に恐怖を感じている」とし、欧州各国が必死に出生奨励策を打ち出しているものの、その限界は明白だと報じた。EUの合計特殊出生率は昨年時点で1.38人と過去最低水準だ。現状の趨勢が続けば、2100年のEU人口は現在より約2730万人から最大で1億人近く減少し、4億1950万人規模にまで縮小する。
すでに欧州各国政府はベビーブームを起こすために現金をばらまいている。イタリアは子どもが2人以上の就業母にボーナスを支給している。ポーランドは「800プラス」政策を通じ、子ども1人当たり毎月約220ドル(約32万ウォン)を支給し、子どもが2人以上の親に大規模な減税を与える法案を可決した。
しかし、金銭が直ちに出産に結び付くわけではなかった。ビクトル・オルバン首相が率いるハンガリー政府は国内総生産(GDP)の5%を家族政策に投じている。米国が国防費に充てる比率3.6%よりはるかに高い。ハンガリーは国家レベルで、結婚した夫婦が子どもを持つ計画を立てれば住宅ローン金利を引き下げる。とりわけ親に3万ドル(約4380万ウォン)を融資し、子どもを3人出産すればこの借金を全額免除する。第3子を産めば4000万ウォンを超えるまとまった資金を無償で手にするのと同じだ。さらに来年からは、子どもが3人いる40歳未満の女性は生涯、所得税が免除される。子どもが2人の母親も免税対象だ。
ハンガリー政府はこうした一連の多産奨励策を過去15年間にわたり投入してきた。その結果、2011年に1.25人だった出生率は2021年に1.61人まで反発した。効果はそこまでだった。2023年の統計によると、ハンガリーの出生率は再び1.39人へと沈んだ。国家的なレベルで予算を大量投入したが、結局はEU平均水準へ回帰した。
専門家は、現金中心の支援策は、子どもを持たない層を出産させる効果よりも、いずれ出産する計画だった親が支援金を得るために出産時期だけを前倒しにした効果の方が大きかったと指摘した。もともと出産を念頭に置いていた層が予算を使い切ると、数値が再び急落する構造だ。
アンナ・ロトキルヒ・フィンランド人口研究所研究員はフィンランド政府の報告書で「出産期世代が好むソーシャルメディアは旅行と個人主義的な生活を理想化し、出会い系アプリはパートナーの選択肢が無限だという幻想を植え付け、定着を難しくする」と指摘した。
この報告書によると「いまや子どもがいない人々は育児を実際よりも大きな犠牲として認識する傾向がある」とし、「母親になると老けて見え、あらゆる楽しみが終わると考える不確実性が出産を阻む最大の障壁だ」と述べた。人口研究所は、欧州で経済的余力が相対的に高い北欧の福祉国家でさえ出生率低下を経験している現実に鑑みれば、経済的支援が少子化の解になり得ないと分析した。
人口構造の変化は既定路線だ。30年前の西欧は高齢者1人を生産年齢人口4人で支える構造だったが、今は3対1に調整された。2050年には2対1未満へと低下する見通しだ。ユーロスタットのシミュレーションによると、2100年の西欧では5歳児より85歳以上の高齢者の方が多い逆ピラミッド構造が固定化する。
コンサルティング企業マッキンゼーは最近、欧州で若年層の欠乏が深刻化するほど経済成長を圧迫し、世代間の対立を誘発すると警告した。労働力供給の不足が賃金上昇とインフレを招き、これがさらに年金枯渇と国家財政危機につながる悪循環を引き起こすとの分析だ。