ドナルド・トランプ米政権が韓国、日本など中核同盟国と新たなサプライチェーン連合体「パクス・シリカ(Pax Silica)」を正式に発足させた。
半導体と人工知能(AI)など先端技術分野で中国を排除し、米国主導の経済秩序を確固たるものにする意図と受け止められる。
米国務省は11日(現地時間)にワシントンDCで韓国、日本、オーストラリア、シンガポール、イスラエルなど5カ国とともに「パクス・シリカ宣言」に署名した。これら6カ国の創設加盟国は12日に初の首脳会議を開き、具体的な協力策を協議する。この日の会議には創設国に加え、欧州連合(EU)、カナダ、オランダ、アラブ首長国連邦(UAE)の関係者も出席し、反中の技術同盟の勢力を誇示する予定である。
「パクス・シリカ」はローマ帝国の平和を意味する「パクス・ロマーナ」と、半導体の中核素材である「シリカ(ケイ素)」を合成した用語である。米国が圧倒的な技術力を基盤に世界経済秩序を主導した「パクス・アメリカーナ」を、21世紀の技術覇権時代に合わせて再現するというトランプ大統領の構想が反映された。今回のイニシアチブは、習近平中国国家主席の重点事業である「一帯一路(陸海のシルクロード)」プロジェクトを無力化することに照準を合わせた。
韓国はメモリー半導体の製造大国として、今回の同盟内で中核的な役割を担うとみられる。米国は今後、資源と技術力、製造能力を備えた友好国を追加で迎え入れ、パクス・シリカの外延を拡張する計画である。
ジェイコブ・ヘルバーグ米国務省経済次官は「今回の同盟は産業化時代の主要7カ国(G7)が果たしていた役割をAI時代に担うことになる」と述べ、「これは経済安全保障のための産業政策であり、ゲームチェンジャーだ」と語った。ヘルバーグは「同盟国間で経済安保のアプローチを一致させ、中国の輸出主導モデルの拡張を遮断する」と付け加えた。
米政治専門メディアのポリティコによると、トランプ政権はこの同盟を通じて中国が独占するレアアースなどの重要鉱物のサプライチェーンへの依存度を下げる計画である。中国は最近、米国の高関税政策への報復措置としてレアアースの輸出統制を強化し、資源を武器化した。パクス・シリカ加盟国は鉱物精製から半導体製造、物流、インフラ整備に至るまでサプライチェーン全般で協力を強化し、中国の影響力を源流から封じる方針である。
専門家は、今回の協議体発足がAIや量子コンピューティングなど将来技術分野で中国の追撃を許さないという米国の危機感を反映したと評価した。国務省の高官はポリティコに対し「中国の莫大なAIおよび量子コンピューティング投資は、21世紀の経済で競争優位を占め得る脅威要因だ」と述べ、「現在、AI経済と対中競争を議論できるグループが不在の状況で、パクス・シリカがその役割を果たす」と説明した。