ドナルド・トランプ政権が高額資産家の誘致を目的とする米国永住権プログラム「ゴールドカード(Gold Card)」の受け付けを開始した。一定の要件を満たす必要があった従来の投資移民制度と異なり、所定の金額を支払うだけで米国の永住権を取得できるため、論争が予想される。
トランプ大統領は10日(現地時間)にソーシャルメディア(SNS)「トゥルースソーシャル」を通じて「資格を備え検証を受けたすべての人に米国市民権へと続く道を開く」と述べ、ゴールドカード制度の施行を公式化した。トランプ大統領は9月19日に「ゴールドカード」大統領令にも署名していた。
ゴールドカードの公式ウェブサイトによれば、米国政府に100万ドル(約15億ウォン)を寄付し、国土安全保障省に1万5000ドル(約2200万ウォン)の手数料を納付すれば、永住権申請が可能なEB-1またはEB-2ビザを発給される。
トランプ大統領は就任直後の2月から、「グリーンカード(Green Card)」として知られる米国永住権を高額で販売する案を構想してきた。従来の投資移民制度は100万ドル以上を投資し、10件以上の雇用を創出してこそ永住権を付与していたが、今回の制度はこの基準を大きく引き下げた格好だ。
トランプ政権は6月からゴールドカードの事前登録を実施しており、この期間中に約1万人が申請したとされる。ロイター通信によると、ハワード・ルトニック米商務長官は「時間がたてばこのカードを数千枚販売し、数十億ドル規模の収益を上げると見込む」と明らかにした。
一方でゴールドカードより一段階上の「プラチナカード」制度も近く施行される予定だ。プラチナカードは海外の高所得者向けの特別プログラムで、米国政府に500万ドル(約73億3000万ウォン)を寄付し、国土安全保障省に1万5000ドルの手数料を納付すれば申請できる。
ウェブサイトは「プラチナカードの寄付金が今後も500万ドルに維持される保証はないため、今すぐに待機者名簿に登録するのがよい」と案内している。これは事実上、米国政府が永住権を販売する意思を露骨に示したものと解釈される。
プラチナカードの所持者は米国に滞在する270日の間、米国外所得について免税の恩恵を受けられる。従来は米国に183日以上滞在すると、米国のみならず海外で得た所得にも納税義務が生じる「居住者」に分類された。外国人投資家が183日を超えて長期滞在しつつも海外所得について免税の恩恵まで受けられる制度を導入するのは今回が初めてである。
さらにトランプ政権は、企業が従業員1人当たり最低200万ドル(約29億2000万ウォン)を納付すれば、無記名の会員権のように他の従業員にも移転可能な永住権ビザを付与する「企業ゴールドカード」制度もこの日から施行する。企業ゴールドカードには年1%の維持手数料と5%の譲渡手数料が課される。
企業ゴールドカードは優秀人材の確保が不可欠なIT企業を狙った政策とみられる。トランプ大統領はこの日、主要IT業界の幹部らとの行事で「アップルのティム・クックCEOをはじめ、この場にいる多くの方々が言うには、米国では優秀な学生を引き留められないという。最高の大学を卒業した人材を雇用できない理由は、その人材が会社に留まり続けるか確信できないからだ」と述べ、企業ゴールドカード制度の必要性を強調した。
ただし米国の投資移民は議会承認で延長された正式な移民ビザプログラムで、2027年9月まで法的効力が保障されている。このためゴールドカードが当該制度を代替するには、議会を通じた立法手続きが必要となる可能性がある。
ブルームバーグ通信は「移民の専門家はビザ政策のいかなる変更事項でも議会の承認が必要となる可能性が高いと指摘する」とし、「しかしトランプ政権の関係者は既存制度の枠内で運用する計画で、別途の立法は不要との立場だ」と伝えた。