香港が大型マンション火災の惨事から11日後、沈痛な雰囲気の中で予定通り立法会(議会)選挙を終えた。今回の選挙は、中国が2021年に「愛国者のみ」立候補できるという条件を付けて以降、2回目となる立法会議員選挙である。
7日、香港は午前7時30分から午後11時30分まで16時間にわたり立法会選挙の投票を実施した。午後10時30分時点の投票率は31.43%で、2021年選挙当時の投票率(30.2%)を上回ったと集計された。火災惨事が発生したタイポ地域を含むニューテリトリーズ北東部選挙区の投票率は29.72%で、全10区域のうち唯一30%を下回った。
ただし香港当局は今回の選挙で投票時間を2時間延長しており、午後11時30分までの投票を反映すれば最終投票率はさらに高まる見通しだ。
香港立法会の計90人の議員を選ぶ今回の選挙には161人の候補が立候補した。20議席は10の選挙区の住民が直接選出し、選挙人団(選挙委員会)が40議席を選ぶ。残る30議席は業界の間接選挙で選ぶ職能代表の議席である。
選挙人団を親中陣営が掌握する中、今回の選挙では「野党」性向に分類される候補は皆無であることが判明した。2月に第1野党だった民主党が解散を決定し、6月には最後に残っていた野党である社会民主党連盟(LSD)まで解散したことで、香港の「公式」民主化勢力は消滅することになった。穏健な声を上げてきた政治家を含め、現職議員の40%に当たる35人が今回は不出馬だった。
2012年53.05%、2016年58.28%など50%を超えてきた立法会議員選挙の投票率は、「愛国者のみ」選挙制度導入後の2021年12月には30.2%にとどまった。2023年12月の区議会議員選挙の投票率は27.5%で、歴代の香港で実施されたすべての選挙の中で最も低い水準と集計された。
香港政府は今回の選挙で▲投票時間の延長▲投票所の追加設置▲投票休暇の奨励▲店舗の割引などによって投票率の引き上げを図った。同時に「選挙に不参加または無効票を投じよ」と呼びかけた市民11人を逮捕したほか、海外メディアを呼び「火災惨事に関する虚偽・歪曲報道をするな」と警告するなど、厳しい雰囲気の醸成に力を注いだと伝えられる。