7日(現地時間)、香港で立法会(議会)選挙の投票が始まった。159人の命を奪った大規模火災の惨事で香港全域が悲嘆に暮れる中で実施される選挙である。
今回の選挙は中国政府が主導した選挙制度の改編により、「愛国者」の認証を受けた親中候補だけが立候補できる。専門家は、制度改編と火災惨事で冷え込んだ香港の民心が果たしてどれほど高い投票率を記録するのかが今回選挙の核心的な観戦ポイントだと指摘した。
この日ロイターによると、2回立法会選挙の投票は午前7時30分から午後11時30分まで実施される。2021年の1回選挙当時より投票締切時間を2時間遅らせ、計16時間投票所を開く。歴代最低を記録した前回選挙の投票率を挽回し、火災惨事による混乱した雰囲気を収拾しようとする意図とみられる。
先月26日、香港タイポ地域の公営住宅団地ワンフクコートで発生した大規模火災は少なくとも159人に達する死者を出した。香港で発生した火災事故の中で80年ぶりに最も大きな人的被害だ。当局はリモデリング過程で使われた不良建築資材が火勢を強めたとしたが、ずさんな安全管理と初動の遅れに憤った香港市民の怨声は容易に収まっていない。
ジョン・リー行政長官は怒る民心をなだめるため投票参加を呼びかけた。リー行政長官は5日、「すべての有権者がクリティカル・ボート(critical vote)を行使すべきだ」とし、「投票はシステムを改革し被害住民を保護するための制度だ」と強調した。香港駐在の中国国家安全弁公室も「香港を心から愛するなら投票せよ」として援護射撃した。
しかし選挙の熱気は冷ややかだ。中国全国人民代表大会は1回立法会選挙以降、香港の選挙制度を全面改編した。改編案によれば立法会議員に立候補するには候補資格審査委員会が認めた「愛国者」でなければならない。主要な民主派の人物はすでに2019年の大規模デモ以後に制定された香港国家安全法により大半が拘束されるか海外に亡命した状態だ。委員会は今回の選挙を前に残る民主派陣営の人物を反中の人物として分類し、ふるい落とした。
香港当局は今回の選挙の低投票率を懸念し、強硬策も併用している。香港汚職摘発委員会は4日、投票不参加を扇動した容疑で7人を逮捕したと明らかにした。香港では選挙のボイコットを扇動したり、白票投票を促す行為が刑事処罰の対象だ。
中国中央政府は火災惨事を口実にした反政府デモの可能性にも神経をとがらせている。中国政府は「火災を利用して香港社会を混乱に陥れる行為は容認しない」と警告した。
カギは投票率だ。2021年の立法会選挙の投票率は30.2%で、1997年の香港返還以降で歴代最低を記録した。今回の選挙も民主派支持層の大量棄権が予想されるうえ、火災惨事への追悼ムードが重なり投票率の反騰は容易ではないとの見方が支配的だ。
開票結果は早ければ8日未明に輪郭が見える見通しだ。2021年の選挙当時は投票の翌日である20日未明3時ごろ当選者が発表された。開票は翌日午前中に終わった。専門家は今回も大きな番狂わせがない限り、親中陣営が立法会の議席90議席をすべて席巻すると見通した。