中国政府が日本企業を相手取ったレアアース(Rare Earth)の輸出許可手続きを遅らせていると、読売新聞が7日、日本政府関係者の話として伝えた。
高市早苗日本首相が先月「台湾有事(戦争)事態は日本の存立危機事態だ」と発言したことへの報復措置と受け止められる。
読売新聞によると、7日、日本政府関係者は「中国から日本に向かうレアアースなど重要鉱物の輸出許可手続きが平時より遅れている」と明らかにした。今回の遅延事態は、高市首相が国会で台湾有事に自衛隊が関与する可能性に言及してからちょうど1カ月で表面化した。
日本政府内では中国の今回の措置を事実上の報復とみている。ある政府関係者は「中国当局の行政的な遅延が単なる実務上の不手際なのか、意図的なハラスメント(harassment)なのかはまだ断定できない」としつつも、警戒を緩めていない。別の関係者は「中国がレアアースをてこに日本政府を揺さぶろうとする意図が色濃い」と述べた。
世界の精製レアアース生産量において中国は90%を超える絶対的な比重を占める。中国は1990年代からレアアースを「中国の石油」として開発する計画を進め、現在はレアアースと主要鉱物の世界的サプライチェーンを完全に掌握している。レアアースは電気自動車のモーター、二次電池、半導体、風力発電タービン、ミサイルシステムなどに幅広く使われ「先端産業のビタミン」と呼ばれる。とりわけ高性能モーターや軍需装備などに不可欠な重レアアースは中国がサプライチェーンをほぼ独占しており、他国で代替するのは不可能に近い。
日本は先に2010年9月、尖閣諸島(中国名・釣魚島)近海で中国漁船と海上保安庁巡視船が衝突した際、中国発の「資源ショック」を経験した。当時、中国がレアアース輸出を電撃的に中断し、日本の製造業は甚大な打撃を受けた。結局、日本政府は衝突した中国の船長を釈放し、事実上の白旗降伏となった。中国は今年4月にも、ドナルド・トランプ米国大統領が主導する対中関税政策に対抗してレアアース輸出規制カードを切った。
中国がレアアース以外に追加の報復カードを切る可能性も指摘される。日本政府関係者は「中国が公式な制裁を発表せず手続きだけを遅らせる『グレーゾーン』戦術を使っている」とし、「日本の反応をうかがいながら圧力の度合いを調整しているとみられる」と述べた。
中国は現在、国際舞台での世論戦を強め、日本を圧迫している。読売新聞は「中国は法に基づく輸出管理だと主張しているが、これは明白な経済的威圧だ」とし、「日本政府が受け身で対応すれば、より大きな不利益を被りかねない」と指摘した。日本政府は中国側の動向を注視し、外交チャンネルを通じて真意の把握に乗り出す方針である。