南アフリカ共和国の行政首都プレトリア近郊のホステルで銃の乱射事件が発生し、子どもを含む多数の死傷者が出た。
ロイターと現地放送SABCなどを総合すると、6日(現地時間)午前4時15分ごろ、プレトリア西部のアテリッジビル・タウンシップ(黒人の集団居住地)にあるソールズビル・ホステル内の酒場で銃撃が起きた。小銃などで武装した覆面の男らが押し入り、酒場内の客に向けて無差別に発砲した。この過程で少なくとも11人が死亡し、14人が負傷した。一部の現地メディアは死者が12人に上ると伝えた。
犠牲者の中には3歳と12歳の男児、16歳の少女など未成年3人が含まれた。週末の未明に保護者に付き添って外出したか、近くにいた子どもたちが巻き込まれたとみられると現地警察は推測した。死亡者10人は現場で即死し、2人は病院に搬送されたが死亡した。負傷者13〜14人は近隣の病院に搬送され治療を受けている。警察は現場から逃走した容疑者3人の行方を追っている。犯行の動機はまだ明らかになっていない。
事件が発生した場所は現地で「シビーン(Shebeen)」と呼ばれる無許可の酒場である。南アのスラムでは正式な酒類販売免許なしで営業するこうした違法業者が横行している。違法で現金が動く特性上、武装強盗やギャング犯罪の標的になる場合が多い。警察は「事件が酒場の内部で発生したのか、外部で始まったのかは調査中だ」と明らかにした。
南アは世界で殺人犯罪率が最も高い国の一つだ。人口6300万人のうち毎年2万人を超える人々が凶悪犯罪で命を落とす。ロイターは「南アでは1日平均約60人以上が殺害される」と伝えた。
最近の統計を見ると、銃器を伴う致死事故の被害者は増加傾向にある。南ア警察の発表によると、今年1〜3月の殺人事件の被害者5727人のうち、約半数にあたる2559人が銃器により死亡した。昨年4四半期(10〜12月)も、全体の殺人被害者6953人のうち2886人が銃創で死亡した。違法銃器の流通が事実上、統制不能の状況に陥っているとの指摘が出ている。
専門家は、警察力の不在と経済難、ギャング勢力の拡大が重なった結果だと分析した。犯罪予防システムが機能しない状況で、違法銃器が民間に広く出回り、些細な口論や強盗行為が大規模な人命被害につながる。英ガーディアンなどの海外メディアは、南ア国内で「ザマ・ザマ(Zama Zamas)」と呼ばれる違法採掘者が重武装し、勢力争いを繰り広げる過程で、タウンシップ内の銃器事故が頻発していると指摘した。
現地警察は特別捜査チームを編成して容疑者の行方を追う一方、目撃者の証言を基にモンタージュの作成など捜査網を狭めている。ただし、CCTVがないスラムの特性上、容疑者の特定に難航する可能性も指摘される。南ア政府は今回の事件を機に違法銃器の回収キャンペーンと無許可酒場の取り締まりを強化すると明らかにした。警察当局は「女性や子どもを含む無辜の市民を狙った残忍な攻撃だ」とし、「法の裁きを受けさせる」と強調した。