グローバル食品大手がコーヒーフランチャイズ事業から相次いで撤退している。
5〜6年前までは「オフラインの接点を増やさなければ生き残れない」として競うようにカフェを買い集めていたグローバル食品大手は、いまや「たとえ安値でも売る」と悲鳴を上げる雰囲気だ。
2日、ロイターと投資銀行(IB)業界によると、世界最大の食品・飲料企業であるネスレは最近、モルガン・スタンレーをアドバイザーに選定し、ブルーボトルコーヒーの売却を含む多様な戦略的オプションを検討中だ。具体的な売却オプションや売却価格は明らかにしていない。
ネスレは2017年にブルーボトルコーヒーの株式68%を約4億2500万ドル(約9800億ウォン)で取得した。当時ブルーボトルコーヒーは「コーヒー界のアップル」と呼ばれ、スペシャルティコーヒーの潮流を先導するブランドと見なされていた。取引当時に推定された企業全体の評価額は約7億ドルに達した。専門家は現在、ネスレが8年前よりはるかに低い市場価格でブルーボトルコーヒーを売りに出すと予想した。いわゆる損切りである。
コカ・コーラもまた、英国最大のコーヒーチェーンであるコスタコーヒーの売却を打診している。コカ・コーラはこのブランドを2019年に39億ポンド(約6兆8000億ウォン)という天文学的な金額を投じて買収した。現在取り沙汰される売却価格は約20億ポンド(約3兆5000億ウォン)前後だ。買収額と比べて企業価値が半減した。
ブルーボトルコーヒーの事例は、ブランド哲学の維持とビジネスの現実との乖離を示す象徴的な出来事である。ブルーボトルは、バリスタが手で直接コーヒーを淹れるハンドドリップ方式の抽出法と洗練された内装を掲げたプレミアムブランドだった。収益性・運営効率を重視する大企業が最も嫌う方式である。スターバックスのようにボタン一つでエスプレッソが出る自動化システムを導入すればブルーボトルのブランドアイデンティティが毀損され、既存の方式を固守すればブランドを迅速に拡大できない。ネスレの買収から8年が過ぎたが、ブルーボトルの店舗数は依然として世界で100店余りにとどまる。世界で4万店を構えるスターバックスと比べるのも気恥ずかしい水準だ。
市場調査機関グロウキピディアの分析によると、ブルーボトルはネスレグループ内部で設定した基本的な財務基準を満たせなかった。特に回転率が低く、人件費が高いことが示された。ネスレのCEOであるフィリップ・ナブラティルが就任直後に「フィジカルリテール(オフライン店舗)の比率を減らす」と宣言したのも、これと無関係ではないと専門家は付け加えた。
ネスレやコカ・コーラのような企業は、工場で大量生産し流通網に流すB2Bや、人員雇用や設備拡大を最小化するアセットライト(Asset-light)モデルに慣れている。ネスレの主力商品であるミックスコーヒーや、コカ・コーラのような炭酸飲料は営業利益率が15〜25%に達する高効率事業だ。これに対しオフラインカフェは、うまくいっても一桁台のマージンを残す水準だ。
英国の小売分析メディアであるワールドコーヒーポータルとケータリストによると、コスタコーヒーの2023年の売上高は12億2000万ポンドで、前年(11億1000万ポンド)比で約9%増えた。外形だけ見れば成長基調だ。しかし中身は後退した。2022年に2億4000万ポンド(約4200億ウォン)に達した税引前利益は、1年でマイナス960万ポンド(約170億ウォン)の赤字に転落した。1年で利益が2億5000万ポンド(約4400億ウォン)も減った。
家賃の高い商圏で店舗を維持し、数千人規模のバリスタまで雇用しなければならないフランチャイズ事業は、典型的な固定費過多の事業モデルである。今年は関税と原材料価格まで急騰した。「オレオ」で知られる米菓子大手モンデリーズ・インターナショナルは昨年10月、コーヒー事業部門だったJDEピーツ(JDE Peet's)の持ち株17.6%全量を投資会社JABホールディングスに約21億6000万ユーロ(約3兆2000億ウォン)で譲渡し、完全に手を引いた。モンデリーズ側は「当社が最も得意とするスナックとビスケットに集中する」と明らかにした。厄介なコーヒー店舗の管理より、スーパーの棚に菓子を並べる方がはるかに割の良い商売という算段だ。
ネスレはブルーボトル事業を完全に畳む代わりに、店舗の運営権は売却しつつブランドの所有権(IP)は維持する案を有力に検討中である。ブルーボトルのブランドをネスプレッソのカプセルコーヒーや豆の販売に引き続き活用する戦略だ。ネスレはすでに2022年からブルーボトルブランドでプレミアムインスタントコーヒーを発売し、ネスプレッソ互換カプセルを投入するなど「家で飲むコーヒー」のイメージを強調してきた。コカ・コーラもコスタを売却しても缶コーヒーや自動販売機の事業権は維持する可能性が高い。
ロイターはIB業界関係者の話として「今後、グローバル食品各社は自ら店舗を運営するリスクを負うより、強力なブランド力を生かしてスーパーやコンビニの棚を押さえる方式へ回帰する」と伝えた。