スーダンの軍政が自国の港を25年間ロシアに賃貸する見返りに、先端兵器を割安で引き渡される契約をロシア側に提示したことが分かった。スーダンでは政府軍と反政府武装勢力の間で発生した内戦により、30カ月以上混乱が続いている。
1日(現地時間)のウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)によると、スーダン政府は紅海の港を海軍基地として25年間利用できるようにする契約を10月にロシアへ提案したという。両国は2020年11月に海軍基地建設に関する協定を初めて発表しており、今回、具体的な賃貸期間や武器供与に関する項目が追加されたとみられる。
契約が成立した場合、海軍基地はロシア軍が運用し、この基地には外交特権を受ける要員が最大300人駐留し、原子力推進艦を含む軍艦最大4隻が同時に係留できる。また、アフリカで3番目に大きい金産出国であるスーダンの鉱山採掘権でも優先権を確保することになる。
とりわけスーダンの港は、世界貿易量の12%が行き交うスエズ運河に近接しており、欧州とアジア間の海上物流の流れを追跡・監視しやすい利点がある。米国と中国もそれぞれ2002年、2017年に東アフリカのジブチに海軍基地を設け、紅海とアデン湾海域周辺での拠点を築いてきた。
その代わりにスーダン軍政は、ロシア製の防空システムと先端兵器を割引価格で引き渡されることを望んでおり、この提案には内戦の長期化で窮地に立つ軍政の切迫感が作用したとみられる。スーダン軍関係者は「ロシアとの協定は米国・欧州連合(EU)との関係悪化を招き得る」としつつも「武器の調達が切実だ」と強調した。
スーダンでは2023年4月、アブデル・ファタ・ブルハン将軍率いる政府軍(SAF)と、モハメド・ハムダン・ダガロ将軍率いる反政府武装勢力の間で内戦が発生し、現在までに約15万人が死亡し、1200万人が避難を余儀なくされた。とりわけ反政府武装勢力である即応支援部隊(RSF)が西部の最後の拠点である北ダルフール州都アルファシルを制圧して以降、人的被害が急増し、戦争は悪化の一途をたどっている。
ロシアはこれまで民間傭兵組織「ワグネル」を通じて反政府武装勢力RSFを支援してきたが、最近RSFがウクライナとの接触を試みる中で、SAF側への支持に転じたとされる。
アフリカで米軍特殊作戦部隊を指揮したマーク・ヒックス予備役空軍少将は「今回の契約はウラジーミル・プーチン露大統領にとって確かに好条件の提案だ」と述べ、「アフリカに基地を置くことはロシアにより大きな国際的威信と影響力を付与し、結果的にロシアの影響力を強化するだろう」と説明した。