ドナルド・トランプ米大統領がカリブ海一帯で「麻薬テロ組織」の取り締まりを拡大し、ドローン・人工知能(AI)技術を保有する米国の防衛産業スタートアップが新たな市場を確保している。既存の軍事作戦に投入されていた技術が麻薬取り締まり用途へ迅速に転用され、政府・防衛分野の新規需要が拡大しているとの分析である。
ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)は29日(現地時間)、米軍と政府が南部国境へ視線を移す中、防衛産業スタートアップが伝統的な戦争ではない新たな形態の衝突に合わせた技術を相次いで打ち出していると報じた。
ウクライナ戦争または対中けん制戦略向けに開発されていたAI、高性能センサー、精密カメラ技術は、トランプ大統領の強硬な反麻薬基調が浮上するなかで麻薬取り締まりプラットフォームとして再整備されている。関連企業もこれに合わせてブランド戦略を切り替え、対応に乗り出す雰囲気だ。
ドローン企業シールドAIは、中東で活用していた偵察技術を基に米国沿岸警備隊の麻薬遮断作戦にV-BATドローンを投入して成果を上げた。最近フロリダ・エバーグレーズ港で実施された作戦では約2万7000㎏のコカイン押収に寄与したとされる。
沿岸警備隊はV-BAT1機が小型高速艇10隻の任務を代替できるほど効率的だと評価し、約1600万㎢の海域で麻薬運搬船をリアルタイムで把握できるようになったと説明した。人員と艦艇だけでは遂行しにくい任務をドローンが補っていると強調した。
AI分析スタートアップのバネバ・ラボも、米政府が麻薬のサプライチェーンを把握し、麻薬運搬船撃沈に関する世論の変化をモニタリングするために必要なプラットフォームを提供している。会社側は「予想外の分野で新たな収益が発生している」と明らかにした。
防衛企業の立場では、麻薬取り締まりの環境が戦場よりはるかに単純である点も利点だ。ウクライナのように電子戦や電波妨害がなく、台湾有事を想定した作戦のように長距離でもないため、技術適用の負担が小さいためである。
このような流れに米国国防総省も歩調を合わせている。国防革新団は9月、人に大きな危険を与えずに小型船舶の航行を停止させることができる技術開発をスタートアップに要請したこともある。
米国の麻薬取り締まり戦略の変化が先端防衛技術の新たな活用先として定着し、「麻薬との戦い」が防衛産業スタートアップの成長ドライバーとして浮上している。