ドナルド・トランプ米国大統領が習近平中国国家主席と電話会談した直後、日本政府に対し「台湾問題に関する発言の水位を下げろ(lower the volume)」と直接要求したことが確認された。習近平主席が日本側の台湾関連の強硬発言に激怒すると、トランプ大統領が米中貿易交渉のテーブルを壊さないため日本を押しとどめた格好だ。安全保障問題さえも取引手段とするトランプ式の「実利外交」が同盟関係より優先されたとの評価が出ている。
27日、ウォールストリート・ジャーナル(WSJ)など海外メディアを総合すると、トランプ大統領は26日(現地時間)、高市早苗日本総理とホットラインで通話し「台湾の主権問題で中国を刺激するな」と助言した。この通話は、習近平主席がトランプ大統領との通話で日本に対する強い不満をぶちまけた直後に行われた。
高市総理は7日に議会で「中国が台湾を侵攻する場合、日本は他国と共に軍事的対応に出ることがあり得る」という発言をした。日本の現職総理としては異例で水位が高い発言だった。
これに激怒した習主席は、トランプ大統領と30分間の電話会談のうち半分を割き、「台湾は中国のものだ」という歴史的主張を展開し、日本側の態度を問題視した。米国務省によると、習主席は日本を直接名指しはしなかったものの、「第2次世界大戦以後の国際秩序」に言及し、敗戦国だった日本が現在の世界秩序を揺るがしている点を遠回しに批判した。
中国側の不満を受け取ったトランプ大統領は直ちに行動に出た。高市総理に電話をかけ、発言の水位を調整するよう勧告した。WSJは関係者を引用し「トランプ大統領の口調は微妙(subtle)で、発言を完全撤回せよと強要はしなかった」と伝えた。
しかし日本当局者は、この発言を、トランプ大統領が先月、習主席と合意した米中関係改善ムード(détente)が台湾問題で壊れることを望まないというシグナルと解釈した。
トランプ大統領は現在、中国と大規模な農産物輸出交渉を進めている。中国は年末までに1200万トン、今後3年間は毎年2500万トンに達する米国産大豆(豆)を購入することを約束した状態だ。トランプ大統領の立場では、支持基盤である農民(ファームベルト)のために中国の財布を開かせることが急務だ。
トランプ大統領は今回の事案に関連しWSJに送った声明で「習主席が大豆と他の農産物の購入をかなり増やすだろう」とし「米国の農民に良いことは私にも良いことだ」と明らかにした。さらに「米国と中国は関係が非常に良く、これは日本にとっても良いことだ」と述べ、北東アジアの安保不安に対する懸念を沈静化させる一方、貿易交渉の成果を自身の手柄として強調した。
日本政府は当惑した気配が濃い。日本総理官邸は今回の通話内容に関する公式論評を拒否した。ただし高市総理は議会答弁で「具体的な台湾対応計画に言及する意図はなかった」として一歩引く姿を見せた。専門家は、日本が米国の圧力に屈して対中けん制の度合いを調整したと解釈した。
外交界では、トランプ大統領が中国側の不満を聞いて同盟国である日本を圧迫したという過程に注目した。元ホワイトハウスのアジア担当補佐官であるマシュー・グッドマンはWSJに「米国大統領が中国、日本の指導者と対話すること自体は驚くべきことではない」としつつも「しかし中国と先に通話し、その後日本と電話したという事実は、日本の外交当局の立場では驚くべきことだ」と指摘した。米国の国益のためなら同盟関係もいつでも妥協の対象になり得ることを示した事例という意味だ。
専門家は、表向きは「米日同盟強化」を唱えるが、水面下では徹底してソロバンをはじくトランプ式外交が本格化し、日本など米国のアジア同盟国の計算が一層複雑化する見通しだと見た。