香港のアパート火災の現場で消火・救助活動に当たり殉職した消防官が、10年の交際を経て来月に結婚を控えていたことが分かった。殉職の知らせに哀悼の声が相次いでいる。
27日、香港01など現地メディアによると、消防官ホ・ワイホウ(何偉豪、37)は前日午後、香港北部のタイポ地区にある31階建ての高層集合住宅「ウェンフックコート(Wang Fuk Court)」で発生した火災の現場で殉職した。
ホは火災発生直後の前日午後3時1分ごろ現場に到着し、地下で捜索活動を行っていたが、午後3時30分ごろに連絡が途絶えた。
約30分後、同僚らは建物外の空き地で、顔に重度のやけどを負って倒れているホを発見した。ホは直ちに病院へ搬送されたが、午後4時45分ごろ息を引き取った。
殉職の報が伝わると、同僚や市民からの哀悼が続いた。香港消防処はホームページの画面を白黒に変更した。同僚らはソーシャルメディア(SNS)に消防学校の卒業時に一緒に撮影した写真などを共有し、「私たちは君を忘れない。安らかに」と記した。ネット利用者はホのインスタグラムのアカウントに「安らかに。あなたは香港人の英雄だ」「ありがとう。任務は終わった。安らかに行ってください」といったコメントを残し、追悼した。
ホは空港の特殊警察として勤務した後、9年前に消防官になったという。約10年間交際した恋人と来月の結婚を控えていたと伝えられている。
ホはインスタグラムなどSNSに、防火服を着たまま恋人を抱き上げて満面の笑みを浮かべる写真や、一緒に旅行する写真を頻繁に投稿していた。投稿には「百回でも言いたい。愛している。これからもずっと幸せに笑おう」などと綴り、愛情を示すこともあった。
ホの恋人はこの日、Threadsで共に哀悼してくれたネット利用者に感謝を伝えつつ、「私のスーパーヒーローは任務を終えてクリプトンへ行った」と記した。クリプトンは映画におけるスーパーマンの故郷の惑星である。恋人はさらに「あなたは私の誇りだ。でも私は受け入れられない。あなたの手をもう一度握れたらいいのに」と述べ、無念さをにじませた。