高市早苗日本総理が投じた「台湾有事(戦争や事変などの非常事態)」に関する発言により、中国へナマコやホタテなどを輸出していた日本企業172社が直接的な被害の影響圏に入ったことが分かった。
24日付の読売新聞によると、日本の民間信用調査機関である帝国データバンクは高市総理の発言直後に中国の輸入停止措置で影響を受ける日本企業の状況を分析し公表した。分析の結果、先月時点で中国に製品を輸出している日本企業は計9,250社と集計された。このうち今回の措置で直接的な被害を受け得る水産物の生産および加工・販売関連企業は1.9%の172社であることが判明した。
数字だけ見れば全体の対中輸出企業の2%にも満たない。ただしこれらの企業の大半は、中国人が好む高級食材である干しナマコやホタテ、スケトウダラなどを専門的に取り扱う事業者として知られている。とりわけ北海道など日本の地方経済を支える地域特産品の事業者が多数含まれており、当該地域経済に及ぼす波及効果は数値以上になると分析されると読売新聞は伝えた。
不幸中の幸いは、日本企業が2023年の水産物貿易戦争の悪夢を経験し耐性を身につけたという点である。帝国データバンクの分析によれば、日本の水産物企業は過去2年間、中国依存度を下げるためにあらゆる努力を傾けてきた。
過去、日本産ホタテは殻付きのまま中国に輸出され、中国の工場で加工(殻むき)して米国や欧州に再輸出する構造だった。しかし中国向け輸出が滞ると、日本企業はベトナム、タイなど東南アジア諸国へ加工拠点を移した。また米国と欧州への直輸出比率を高め、日本の内需市場の消費を喚起するなど販路の多角化に活路を見いだした。
専門家は、このチャイナ・プラス・ワン(中国以外の代替市場の確保)戦略のおかげで、今回の衝撃は2年前より小さいと見通した。
帝国データバンクは分析報告書で「(市場の多角化などにより)2023年の輸入禁止当時のように企業が大きな衝撃を受けない可能性がある」と述べた。すでに中国リスクを常数として織り込んで経営戦略を組んできたため、即時の倒産や廃業に直結することはないという説明である。