最近、共和党内でドナルド・トランプ米大統領の立場が揺らいでいるとの観測が出ている。トランプ大統領の最側近とされる連邦下院議員のマジョリー・テイラー・グリーンが突然の辞任を発表するなど、支援勢力が次々と離反しているためだ。
23日(現地時間)のワシントン・ポスト(WP)によると、トランプ大統領に反旗を翻す議員が相次いで登場し、大統領の党内基盤が揺らぎ得るとの可能性が提起された。トランプ大統領は最近、過度な移民政策と物価上昇で支持率低下と地方選挙の惨敗という逆風に直面していたが、さらにはいわゆる「忠誠派」の離脱まで続いているということだ。
21日に突然の辞任を発表したジョージア州選出の連邦下院議員マジョリー・テイラー・グリーンが代表的な事例である。この日グリーン議員は自身のX(旧ツイッター)アカウントに投稿した動画で「来年1月5日を最後に議員職を辞任する」と宣言し、「我慢を強いられる暴力被害に遭った妻のように扱われている」と述べ、辞任の背景を明らかにした。
強硬保守派に分類されるグリーン議員は、MAGA(Make America Great Again・米国を再び偉大に)と呼ばれるトランプの強硬支持層の一員としてイメージを固めてきたが、最近の主要案件では大統領と対立する姿勢を示してきた。
例えば、トランプ大統領が外交問題に注力する代わりに物価や医療保険などの国内問題に集中すべきだと批判したほか、同氏が億万長者の性犯罪者で故人のジェフリー・エプスタインのファイル公開を妨げてはならないと公然と促した。これは忠誠競争が激しいMAGA陣営では特に異例の動きと受け止められる。
実際に米政界では「レームダック」(任期終了を控える大統領などの指導者、またはその時期における指導力の空白状態)という用語も広がっている。政治メディアのポリティコが、4日に実施された州知事などの選挙で共和党が惨敗した結果を取り上げ、「トランプ大統領のレームダックが始まった」と言及したうえ、ジェフリー・エプスタインのファイル公開をめぐる党内分裂まで深まった結果である。
ここに共和党議員は来年実施される中間選挙を意識せざるを得ない。米CNNは「共和党員はトランプ大統領の対外政策への偏重、家計負担への理解不足、家族が富を蓄積する姿に不満を吐露している」とし、「レームダックという言葉をより頻繁に聞くことになる」と診断した。すでにJD・バンス米副大統領は共和党議員に党内対立に言及し、「われわれは相違点より共通点が多いことを忘れるな」と訴えに出ている。
ただしトランプ大統領は依然として中核支持層を基盤に影響力を維持しており、当面は隊列が崩れないとの見方も出ている。民主党所属のメリーランド州選出上院議員クリス・バン・ホーレンは「共和党の議会支配力がトランプから完全に離れたと断じるのは時期尚早だ」とし、「大半は党内予備選で生き残るためにトランプ大統領の支持を得ようとするだろう」と付け加えた。