英国国防省(MoD)が職員が利用する中国製電気自動車に盗聴と位置追跡を警告するステッカーを貼ることにした。イスラエルは国防省で「中国車追放」に踏み切った。世界の道路で中国製電気自動車が増えるスピードに比例して、これを警戒する各国の治安当局の遮断壁も高くなっている。

英テレグラフとザ・タイムズなど現地メディアは18日(現地時間)、英国国防省が気候危機を食い止めるとして導入した中国製電気自動車が、かえって国家安全保障を脅かす「トロイの木馬」へと変貌したと伝えた。

中国国有の上海汽車(SAIC)傘下ブランド、MG(モーリス・ガレージ)の電気自動車ZS。/聯合ニュース

これらのメディアによると、英国国防省は最近、公用車として導入した中国製電気自動車の助手席前方に「国防省の機器をこの車両に接続するな(MOD Devices are NOT to be connected to this vehicle)」というステッカーを赤い警告文で作成し、貼り付けた。車内に貼る別のステッカーには「車内では公務(Official)等級以上の会話は避けよ」と記した。

英国政府はカーボンニュートラル(Net Zero)目標の達成に向け、2030年からガソリン・ディーゼル新車の販売を禁止する強力な政策を進めている。政府部処は率先垂範の観点から公用車を電気自動車へ急速に切り替えた。英国国防省も例外ではなかった。現在、英国国防省が保有する車両のうち純電気自動車は745台、ハイブリッドは1400台に達する.

ただし短期間に限られた予算で、内燃機関車より相対的に高価な電気自動車を大量購入する中で、選択肢は安価な中国製に絞られた。英国国防省は中国製電気自動車ブランドの中でも上海汽車(SAIC)傘下ブランドのMG(モリス・ガレージ)を選択した。MGは元は英国ブランドだったが、経営難を経て2005年に中国の南京汽車に売却された。現在は中国の技術と資本で中国で生産されている。英国人に馴染みのあるブランドだが、今では中国車ということになる。

過去の内燃機関車は機械工学の産物だったが、近年登場する電気自動車は車輪のついた高性能コンピューター、あるいは巨大なスマートフォンに近い。この点でセキュリティの穴が生じる。セキュリティ専門家は電気自動車に必須の「セルラーIoT(モノのインターネット)モジュール」を主犯と指摘した。この部品は車両が常時インターネット網に接続し、データを送受信できるようにする。リアルタイムのナビゲーション、自動運転支援、リモート始動といった主要な利便機能はすべてこの通信網に依拠する。この経路がハッカーや敵対国の情報機関の侵入経路になり得る。

英国国防省が最近、公用車として導入した中国製電気自動車の助手席前方に貼られたステッカー。「国防省の機器をこの車両に接続しないこと」「車内ではOfficial等級以上の公務の会話を避けること」と記されている。/MoD提供

英国国防省は、スマートフォン内の連絡先、テキストメッセージ、位置履歴が充電ケーブルを介して車両のメインコンピューター(ECU)へ渡り、このデータが再び車両内の通信モジュールを通じて中国内のサーバーへ送信される可能性があるとみている。車内のマイクは搭乗者の会話を録音し、リアルタイムで送る盗聴装置になり得る。

テレグラフは元英国陸軍情報将校の話として「現代の車両は複雑なデータ収集システムを備えており、車両に接続されたあらゆる機器の情報と音声を記録できる」とし、「中国政府がこれを悪用するだろうという点を国防省は導入段階で認識すべきだった」と伝えた。

結果的に英国政府は環境を守るという名目で中国企業に税金を注ぎ、その代価として盗聴の危険がある車両を自宅の中に招き入れた格好になった。英国内の保守層と安全保障専門家はこれをめぐり「国家安全保障をネットゼロの祭壇に捧げた」と批判した。

中国電気自動車メーカーXPENGのブライアン・グー副会長が9月、ドイツ・ミュンヘンで開かれた国際モーターショーIAAで演説している。/聯合ニュース

イスラエルの事例はさらに劇的だ。イスラエルの技術専門メディアであるシーテックとタイムズ・オブ・イスラエルの報道を総合すると、イスラエル軍は今月初め、イスラエル国防軍(IDF)が軍の高位幹部に支給していた中国製リース車両700台余りを全量回収すると明らかにした。単なる懸念を超え、実体的な脅威が感知されたことの傍証である。

イスラエル国防省は2022年から、中佐・大佐級幹部のうち多子世帯に中国のチェリー自動車(Chery)のSUV「ティゴ8プロ(Tiggo 8 Pro)」を支給した。イスラエルは中国製電気自動車への依存度が西側諸国の中で最も高い部類に入る。昨年のイスラエルの新車販売に占める電気自動車の割合は18%だった。このうち約60%はBYD、ジーリー(Geely)、チェリーなどの中国ブランドだった。

イスラエル軍はこの車両を導入する際、セキュリティ上の懸念を解消するため、車内のカメラとマイク、マルチメディアシステムを無効化する、いわゆる「滅菌(sterilization)」作業を施した。ハードウェアの機能を物理的に制限すれば安全だと判断した。しかし最近のセキュリティ再点検の結果、こうした措置だけでは情報流出を防げないとの結論に至った。

車両の頭脳に当たるソフトウェアとファームウェアの深部にバックドア(Backdoor・認証なしにシステムへアクセス可能なセキュリティホール)が潜んでいれば、ハードウェアであるマイクをオフにしても、制御ソフトウェアがこれを強制的に有効化できる。別のセンサーで間接情報を収集する可能性もある。

位置情報単体では国家機密としての価値は低い。しかし軍用車両数百台から収集した位置情報と搭乗者の会話、スマートフォンの接続記録がビッグデータとして蓄積されれば話は変わる。部隊の出入り記録、主要人事の移動パターン、私的な会話内容まで結び付ければ、国家機密を再構成することもあり得る。

中国天津市の天津清源電動汽車有限公司の工場で、従業員が輸出用の電気自動車を検査している。/聯合ニュース

こうした点を踏まえ、米国は前政権のバイデン政権時から電気自動車のようなコネクテッドカーに関する規制を大幅に強化する流れにある。とりわけ中国製のソフトウェアやハードウェアを搭載した車両は、米国内での販売を事実上禁止する段階に入っている。自動車が単なる移動手段を超え、動く安全保障拠点でありデータ収集ツールだという認識が定着したためだ。

中国側は自国の電気自動車に対するあらゆる疑惑を全面否定している。英国駐在中国大使館の報道官は今回の英国国防省の措置について現地メディアに「根拠のない噂で被害妄想だ」とし、「正常な経済貿易協力を政治的に操作したり中国企業を中傷する行為に断固反対する」と述べた。技術的欠陥やセキュリティの脆弱性はあり得ても、国家レベルでスパイ行為を行ったことはないという主張である。

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