中国が自動車メーカーの出血競争のなかで増えた、いわゆる「0km中古車」の輸出にブレーキをかけることにした。0km中古車は実際には新車だが、出庫後に形式的な登録手続きを経てすぐ中古として販売される車両を意味する。
16日、財新など中国メディアによると、中国商務部・工業情報化部・公安部・海関総署(税関)は14日、この内容を盛り込んだ「中古車輸出管理強化作業に関する通知」を発表した。この措置は2026年1月1日から施行され、それまで猶予期間が適用される。
0km中古車が急速に増えたのは、当局の戦略的育成のもとで自動車ブランド数が数十に膨らんだからである。競争が過熱し、新車の生産量が中国国内の需要を上回り、近年在庫も積み上がり続けた。
中国自動車工業協会の公式統計によると、今年1〜10月の中国自動車生産台数は2769万2000台、販売台数は2768万7000台で、いずれも前年より10%超増加した。このうち新エネルギー車(電気・水素・ハイブリッド車)は生産1301万5000台、販売1294万3000台を記録した。財新は「0km中古車は先に海外市場で販路を開拓し、中国自動車メーカーが在庫と過剰生産圧力を解消する経路の一つだった」と説明した。
0km中古車は2021年に1万5000台規模だったものが昨年は43万6000台に増えた。今年は50万台を超える見通しである。ただし中国には「0km中古車」輸出状況を示す公式統計は存在しない。
問題は0km中古車の輸出には別途のアフターサービス(A/S・アフターサービス)がない点である。したがって消費者の不満を招きやすく、当該ブランドのイメージや中国自動車業界の評判にも打撃を与え得る。このため業界では、中国当局が対策を準備しているとの噂が数カ月前から出ていたと財新は伝えた。
今回発表された新方針は、輸出を全面禁止するわけではないが条件を大きく強化した内容である。今後0km中古車を輸出するには自動車メーカーの同意を得なければならない。
リ・ファイ海尚車科技最高経営責任者(CEO)は財新に「『0km中古車』は共食い競争の産物だ」と述べ、「中国の自動車企業が生存圧力に直面し、生産量が市場地位を保証する最も重要な指標であるため、やむを得ず盲目的に増やそうとしている」と付け加えた。