米国株式市場が人工知能(AI)中心のラリーの後、不安定な調整局面に入り、投資家の警戒感が高まっている。先月まで続いた上昇基調が鈍化し、変動性指数(VIX)が急騰し、株価と変動性が同時に上昇する異例の現象が捉えられた。市場全体に「バブル不安」が広がり、オプション取引量とヘッジ需要が急増している。
9日(現地時間)ブルームバーグによると、マックスウェル・グリナコフUBSグループ米国株式デリバティブ・リサーチ責任者は「投資家は市場の脆弱性が高まっていることを認識している」と述べ、「些細な変数でもVIXが1日で20%近く急騰し得る不安定な状況だ」と語った。マックスウェル・グリナコフは「投資家が上昇局面を追随しながら同時に下落に備える二重ポジションを取っている」と分析した。
지난 月初にドナルド・トランプ大統領が中国製輸入品への追加関税を警告して以降、VIXは実現ボラティリティに比して高いリスクプレミアムを維持した。スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)500指数は過去最高値付近を行き来したが、変動性は16〜17の水準を下回れなかった。これは投資家がラリーを追いかけつつも急落リスクを警戒する心理が重なった結果とみられる。
市場不安の背景には複数の要因がある。連邦政府のシャットダウン懸念とFRBの12月の利下げ可否が不透明ななか、企業の決算発表後に個別銘柄が急騰落し、市場内の不安を高めた。特にマクロ指標の発表が乏しい一方でトランプ政権の政策方向が明確でなく、投資家が代替データを探して意思決定している点も不確実性を増幅させた。
UBSは「経済指標の空白と政治的不確実性、業績不振が重なり、市場の変動性が一時的に高水準を維持している」と分析した。実際にS&P500の30日実現ボラティリティは先月に2倍以上上昇し、6月以降の最高値を記録した。変動性の変動性を示すVVIX指数も上昇し、投資家がVIXオプションを用いてリスクをヘッジする事例が増えている。
タンビル・サンドゥ、ブルームバーグ・インテリジェンスのチーフ・デリバティブ・ストラテジストは「VIXは昨年より高い水準で動いており、上昇局面の追随と政策不確実性の中で変動性拡大が同時に現れている」と診断した。タンビル・サンドゥは「AIラリー後、個別銘柄の変動性と指数の変動性のスプレッドが過度に拡大したが、決算シーズン終了後に徐々に正常化する過程にある」と付け加えた。
バンク・オブ・アメリカは最近のリポートで「資産価格が上昇する一方で変動性も高まるのはバブルの典型的なシグナルだ」と指摘した。リポートは「AIラリーが2000年代初頭のハイテク株バブルと類似した様相を示しており、モメンタムにより株価がファンダメンタルズと切り離される兆しが現れている」と明らかにした。
決算シーズン序盤には個別銘柄の株価変動が指数を大きく上回ったが、足元ではマクロ経済不安が拡大し、再び市場全体の変動性が主導権を取り戻している。専門家は「AI関連のハイテク株中心の急騰が投資心理を過熱させ、その反動でオプション需要と変動性指標が同時に上昇している」と診断した。
サンドゥ戦略家は「上昇期待とリスク回避が同時に作用し、市場が両方向リスク(two-way risk)局面に入った」とし、「AIラリーの疲労感が高まるなか、一部の投資家は依然としてコールオプションを買って追加上昇にベットしている」と述べた。
一方、UBSは「現在の市場の緊張は短期的な過熱に伴う自然な調整である可能性が大きい」とし、「12月のFRBの金利決定と米政府のシャットダウンリスクの解消が年末の株式相場の方向性を左右する」と見通した。