米国連邦最高裁がドナルド・トランプ大統領の広範な関税賦課政策をめぐり適法性の判断に乗り出したなか、トランプ大統領は6日(現地時間)「もし我々が(最高裁で)敗れるなら、それは米国に破壊的(devastating)な結果になる」との見解を示した。
この日トランプ大統領はホワイトハウスでグローバル製薬企業と肥満治療薬の価格引き下げ合意を発表した後、記者から「政府が最高裁で敗訴した場合どのような代案(plan)があるのか」という質問を受けた。トランプ大統領は即座に「今回の裁判は米国史上最も重要な事件の一つだ」と述べ、こう答えた。
トランプ大統領は、関税は単なる税金ではなく米国の国益と安全を守る中核手段だと重ねて主張した。トランプ大統領は「(関税は)韓国を防衛するための手段だ」とし「国家安全保障の観点で多くの事柄が関税を中心に回っている」と述べた。
とりわけ行政府が関税をてこに活用して莫大な通商合意を導き出した点を最大の成果として掲げた。トランプ大統領は「我々は関税のおかげで欧州連合(EU)から9,500億ドル、日本から6,500億ドル、韓国から3,500億ドル規模の通商合意を成立させた」と具体的な金額を示した。
トランプ大統領は「このような莫大な金は関税がなかったなら決して出てこなかった」と強調した。続けてトランプ大統領は「関税政策が米国を再び公正にした」とし「もし最高裁がこの権限を奪うなら、米国は他国の関税攻勢の前に完全に無防備な状態になる」と述べた。さらに「関税賦課権限を失うことになれば、我々が稼いだ数兆ドルを(訴訟などを通じて)返さなければならないかもしれない」と付け加えた。
トランプ大統領は最高裁が不利な判決を下す可能性に備えて代案が必要だとの意見も示した。トランプ大統領は前日(5日)の審理で行われた政府側の弁論について「我々は(弁論を)非常にうまくやったと思う」と評しつつも、「しかし我々は『ゲーム・トゥー・プラン』(game two plan)を用意すべきだと思う」と述べた。
専門家は関税負担の主体に関するトランプ大統領の発言の変化に注目した。トランプ大統領はこれまで「関税は全的に外国が払う」と主張してきた。これは関税コストの一部は関税を課す国の消費者に転嫁されるという経済学の通説と真っ向から対立する主張である。
この日ある記者は、前日にジョン・ロバーツ連邦最高裁長官が法廷で「関税は事実上米国人が払う税金だ」と言及した事実に言及し、これに同意するかをトランプ大統領に尋ねた。
トランプ大統領はすぐに「同意しない」と線を引きつつも、「自分は彼ら(米国の消費者)が『何か(something)』を支払っている可能性はあると思う」と一歩引いた。これは事実上、米国人が関税を一部負担していることを初めて認めた発言だとロイターなど主要海外メディアは評価した。トランプ大統領はただし「全体的な効果を考慮すれば米国は莫大な利益を得ている」として政策の正当性を堅持した。
一方トランプ大統領は、この日物価管理に失敗して民心を失ったという民主党側の攻勢に正面から反論した。4日に行われたニューヨーク市長、バージニア・ニュージャージー州知事選で民主党が「生活物価(affordability)」問題を突いて圧勝したとの評価が出ていることへの反論である。
トランプ大統領はウォルマート基準の今年の感謝祭の買い出し費用の統計資料を根拠に示し、「ジョー・バイデン前政権期だった昨年より物価が25%も下がった」と主張した。トランプ大統領は「生活物価について優れた対応をしてきたのは我々の政権であり、民主党はひどかった」と述べた。
続けてトランプ大統領は「牛肉を除けばガソリンを含むすべてのものの価格がバイデン政権時より下がった」とし「与党である共和党がこの成果を積極的に語らないことに腹が立つ」と付け加えた。