米国最大の都市ニューヨークが「若き社会主義者」を選んだ。4日(現地時間)に行われた市長選の結果、34歳で社会主義志向のゾラン・マムダニニューヨーク州下院議員が、アンドリュー・クオモ前州知事(無所属)とカーティス・スリワ(共和党)を破り次期ニューヨーク市長に当選した。

民主党の市長候補ゾーラン・マムダニが4日、ニューヨークのクイーンズ区にあるフランク・シナトラ芸術学校で、妻のラマ・ドゥワジと投票している。/聯合ニュース

マムダニ当選人は1991年にウガンダのカンパラで生まれ、7歳でニューヨークに移住した。父はコロンビア大学人類学科の教授マフムード・マムダニ、母は『ミシシッピ・マサラ』などで知られるインド出身の著名映画監督ミーラ・ナイアである。まさにエリート家庭の出身だが、マムダニは自らを「民主的社会主義者」と称している。

マムダニは政界入り前、「ヤング・カルダモン(Young Cardamom)」「ミスター・カルダモン(Mr. Cardamom)」という名で活動したラッパーだった。ロイターによると、2016年にはディズニー映画『クィーン・オブ・カトウェ』のサウンドトラックにも参加したという。ニューヨーク・タイムズ(NYT)は「マムダニが、インドで日常的に食べられる庶民のパン『チャパティ』が自分に似ているという内容のラップを披露した」とし、「起源はインドだがUG(ウガンダ)で生まれたという歌詞を書いた」と報じた。

マムダニはブロンクス科学高校とボーディン・カレッジを卒業後、ラッパー活動に入る前の最初の職として住宅カウンセラーを選んだ。主にニューヨーク・クイーンズ地域の低所得層移民が住宅を差し押さえられないよう支援する業務を担った。マムダニはこの経験が「銀行が人より利益を重視する現実を目の当たりにした」とし、「政治に出馬する契機になった」と明らかにした。

政治に入ったきっかけは、米国の進歩政治を牽引する大物バーニー・サンダース上院議員を慕い、同じような政治家になるためだった。2020年のニューヨーク州下院議員選挙では、クイーンズ・アストリア地域の5期現職民主党議員アラベラ・シモタスを破る波乱を起こした。以後、マムダニは「MTA(ニューヨーク大衆交通)を直そう」キャンペーンを主導し、一部バス路線の無料化試験事業を実現させた。その後、無料の大衆交通利用、アパート賃料凍結などを公約に掲げ、民主党内でも進歩陣営の新星として台頭した。現在、米国内最大の左派組織アメリカ民主社会主義者(DSA)所属に分類される。ニューヨーク史上初のインド系かつムスリムの市長でもある。

ミスター・カルダモン(Mr. Cardamom)の名で活動していたラッパー時代のマムダニ当選者(写真右から2人目)。/YouTube

マムダニ当選人は今回の市長選を通じて「負担可能な都市(Affordable City)」をスローガンに掲げた。中核公約は4つだ。5歳未満児の全面無償保育、ニューヨーク市のバス運賃無料化、市直営の食料品店の試験運営、アパート賃料の凍結である。いずれも天井知らずに高騰したニューヨークの住居費と生活費負担を狙った政策だ。

こうしたポピュリズム的公約は、財源確保から実行可能性まで選挙期間中終始批判にさらされた。NYTは無償保育だけで年60億ドル(約8兆ウォン)かかるとした。バス無料化は年8億ドル(約1兆ウォン)、5つの自治区での直営食料品店運営には年6,000万ドル(約800億ウォン)が必要だ。代表的な公約の費用を合算するだけで年70億ドル(約9兆5,000億ウォン)に迫る。これは来年のニューヨーク市警(NYPD)予算63億ドルを上回る金額だ。

マムダニは「財源は富裕層増税で賄う」と公言した。年収100万ドル(約13億5,000万ウォン)以上の高所得者に所得税2%ポイントを追加課税して40億ドルを確保するとした。さらにニューヨーク市の法人税率をニュージャージーと同水準の11.5%まで引き上げ、50億ドルを追加で徴収する。富裕層増税に法人税引き上げを合わせると総額90億ドル(約12兆ウォン)規模の財源が生じる。

このためニューヨークの金融街と企業人の相当数は予備選段階からマムダニに激しく反発した。世界金融の中心ウォール街を抱えるニューヨークで社会主義的政策を導入することは象徴的意味が大きい。フィナンシャル・タイムズ(FT)によると、ジェイミー・ダイモンJPモルガン・チェースCEOはマムダニの公約を「イデオロギー的なごった煮(ideological mush)」と表現した。

進歩色が強まった地方政府とトランプ2期政権が「政策戦争」を繰り広げる可能性も指摘される。ニューヨークが北欧型の社会民主主義モデルを米大都市に初導入する実験場になれば、シカゴ、ロサンゼルス、サンフランシスコなど民主党優勢地域でも類似の進歩政策導入圧力が強まると見込まれる。共和党所属のマイク・ローラー下院議員は「マムダニの計画は企業と人の双方をニューヨークから大脱出させる」とし、「マムダニは来年の中間選挙で民主党の足を引っ張るブギーマン(bogeyman・お化け)になるだろう」と批判した。

1日、ニューヨーク市クイーンズ区で民主党のニューヨーク市長候補ゾーラン・マムダニの支持者がキャンペーンイベントに参加している。/聯合ニュース

当選はしたものの、今後の政策執行までには乗り越えるべき障害も少なくない。マムダニ当選人が追求する中核政策の大半は、実行にはニューヨーク州議会と州知事の承認を要する。しかしキャシー・ホークルニューヨーク州知事は同じ民主党所属でありながら、すでに州レベルで「富裕層増税はない」と線を引いた。企業流出への懸念が理由だ。

ドナルド・トランプ大統領との対立も予告された。トランプ大統領は選挙の前日である3日、マムダニを「100%共産主義の狂人」と呼び、「マムダニが当選すればニューヨークに支援する連邦資金を削減する」と脅した。さらには選挙終盤に民主党を離党して無所属で出馬したアンドリュー・クオモ前州知事を公開支持すると宣言した。

マムダニ当選人がイスラエルのガザ地区での軍事作戦を「ジェノサイド(集団虐殺)」だと公に批判してきた点も物議を醸している。ニューヨーク市は伝統的に親イスラエルの性向が強い。ニューヨーク市の五つの行政区にあるユダヤ人コミュニティは約96万人で世界最大水準を誇る。市議会などの政治エリート層と州政府は長らくイスラエル支持の声明を繰り返してきた。こうした中でマムダニは「当選したらベンヤミン・ネタニヤフイスラエル首相がニューヨークを訪問する際に逮捕する」と公言した。こうした強硬発言はニューヨークのユダヤ人社会の相当数の反発を招いた。850人を超えるラビがマムダニの市長候補辞退を求める公開書簡に署名した。

ニューヨーク市長の民主党候補ゾーラン・マムダニ(写真中央)が2025年10月26日、ニューヨークのフォレストヒル・スタジアムで、応援に駆けつけた民主党のバーニー・サンダース(左)とアレクサンドリア・オカシオコルテス(右)両議員とともに手を挙げている。/聯合ニュース

批判を踏まえ、マムダニは市長選の予備選勝利直後から中道層に手を差し伸べ始めた。ポリティコは、マムダニが予備選勝利以降「現実主義者」へ相当部分で変化したと伝えた。まず強硬左派が批判してきた現ニューヨーク警察局長ジェシカ・ティッシュの留任を約束した。2020年のジョージ・フロイド抗議デモ当時に「NYPDは人種差別的だ」としていたツイートについて、警察に直接謝罪もした。

FTはマムダニの側近を引用し、マムダニがウォール街との関係改善にも乗り出したと伝えた。FTによれば、マムダニは最近ウォール街のCEO約400人と会った場で「増税だけが解決策ではなく、政府の効率化や歳出削減など他の方策にも開かれている」と述べた。

最近は、自ら熱心に身を置いてきた左派組織DSAとも距離を取った。ポリティコによると、マムダニは「自分の公約はDSAの公約とは違いがある」とし、「軽犯罪の非犯罪化といったDSAの綱領は自分の公約ではない」と線を引いた。

英国メディアのモノクルは「マムダニが提案した政策は西欧の福祉国家では全く合理的な水準だ」とし、「その一部でも成功させればニューヨークだけでなく米国全体に変化をもたらしうる」と評した。

※ 本記事はAIで翻訳されています。ご意見はこちらのフォームから送信してください。