病院が診療システムを起動すると、人工知能(AI)が高血圧患者の個人健康記録に基づき服薬時間を知らせ、適切な食事を勧告する。AIアルゴリズムを搭載した画像機器はコンピューター断層撮影(CT)で微小病変を精密に識別し医師の追加確認を支援し、保護者は携帯電話アプリで子どもの体質を把握する。
病院の内外の医療現場にAIが深く浸透して定着した様相である。こうした「AI医療」は今後数年以内に中国で現実になる見通しだ。中国が疾病予防から診断、治療、リハビリ、健康管理に至る全診療プロセスにAI技術を全面的に導入すると明らかにしたためである。
2030年までに一次医療でのAI診療補助を全面普及し、上級医療機関でAI診療補助を商用化することが核心である。そのために中国政府はデータインフラと標準・規制体系を迅速に整備し、最終的に患者が体験する診療品質を引き上げる構想だ。
5日、中国の国営である新華通信によると、国家衛生健康委員会と国家発展改革委員会など5部処は4日に「人工知能+医療・衛生応用発展の促進と規範に関する実施意見」を発表した。具体的には、2027年までに保健医療分野の高品質データを構築し、大規模AIモデルとインテリジェントエージェントを本格適用する。一次医療AI診療補助、専門科の臨床意思決定支援、AIベースの患者案内・相談サービスなどが医療機関全般で広く使われる予定である。
続いて2030年までに一次医療AI診療補助を事実上全面普及し、2級以上の医療機関(総合病院級)で医用画像AI読影補助と臨床意思決定支援などAI技術の活用を一般化する。またAI医療の標準とガイドライン体系を完備し、世界先導水準の研究と人材育成拠点を各地に整備する計画だ。
新華通信は「これにより発症頻度の高い疾患を中心にAIは医師の強力な助っ人になる見通しだ」とし、「一次医療AI診療補助は医師に診断補助、処方のレビュー、追跡管理などを提供し、診断能力を高めることができるとみられる。特に医用画像AIは単一疾患中心から離れて臓器別の多疾患読影へと高度化し、読影効率と報告の品質をともに引き上げるだろう」と報じた。
診療過程の不便を解消するための患者中心の措置も順次導入される予定である。AIを活用した正確な予約・トリアージ・案内、事前問診、事後管理を通じて、2級以上の医療機関では受診前の段階にわたりスマートサービスを提供する。
また病床のそばにスマート機器を普及させ、状態モニタリングと予測警報、スマート看護を支援する。検査結果の地域・機関間の共有を推進し、モバイル決済、医療保険ワンストップ精算、保険金の迅速支払い、満足度調査、退院後の管理などのサービスも拡大し、患者体験を重点的に改善する予定である。