人工知能(AI)半導体ブームの中心にいたAMDが市場の高い期待に応えられず、成長にブレーキがかかった。エヌビディアの唯一の対抗馬と評価されてきたAMDはAIチップ需要急増のなかで急騰を続けてきたが、4四半期の業績見通しが予想に届かず投資家の失望を招いた。
5日(現地時間)ブルームバーグ通信によると、AMDは4四半期の売上高が約96億ドル(約13兆4000億ウォン)に達する見通しだと明らかにした。これは市場予想の92億ドルを小幅に上回ったが、一部の99億ドルという期待には届かなかった。発表直後、株価は時間外取引で3%以上下落した。AMDの株価は年初来で2倍以上上昇し前日に250.05ドルで引けていたが、決算発表後に利益確定の売りが噴出した。
3四半期の売上高は前年同期比36%増の92億5000万ドルとなり、予想を上回った。一部項目を除いた1株当たり利益(EPS)は1.20ドルで、市場予想(1.17ドル)を小幅に上回った。AI需要の中核ドライバーであるデータセンター部門の売上高は22%増の43億ドルを記録し、パーソナルコンピューター(PC)部門の売上高は73%増の40億ドルへと反発した。景気減速にもかかわらずPC市場の回復が本格化したとの分析である。
リサ・スー最高経営責任者(CEO)は「AMDがAIを活用して売上と利益の成長を牽引している」と述べ、「成長軌道が明確に上向いている」と語った。さらに「AI事業が2027年までに年間数千億ドルの売上を創出する」とし、具体的な成長時期は来週の投資家ミーティングで示す予定だと明らかにした。スーCEOはまた「当初は5000億ドルという市場規模が誇張に見えたが、今はそれより大きな機会が近づいている」として、長期成長見通しに自信を示した。
AMDは最近、OpenAI、オラクル、米国エネルギー省などと相次いで大型契約を結び、自社のMIシリーズAIアクセラレーターの存在感を高めてきた。同製品はデータセンターでAIサービスを構築・運用する中核部品で、エヌビディアの「H100」シリーズと直接競合する。AMDはAI演算用GPUとサーバー用CPUの両市場で存在感を拡大し、エヌビディアの独走体制を崩すことを目標に掲げている。
ただし市場ではAMDのAI売上成長が想定より鈍いと見ている。現在、AMDのAI関連売上の比率は全体の約10%水準で、AIブームを主導したエヌビディアに比べて低い。アナリストは「AI需要拡大がAMDの株価に織り込み済みだ」とし、「今後は実質的な収益創出の速度がカギになる」と指摘した。
グローバルな地政学リスクも重荷となっている。米国政府は安全保障上の懸念を理由に中国向けの高性能AIチップ輸出を制限している。AMDはこの影響で今年約15億ドルの売上損失が発生する見通しだと明らかにした。トランプ大統領と中国の習近平国家主席の最近の会談で一部緩和への期待が出たが、膠着状態は依然として続く。北京は自国の半導体自立を促し、米国産半導体への依存度を下げようとしている。
AMDはAIアクセラレーター用グラフィックチップ分野でエヌビディアに次ぐ2番手のサプライヤーである。またインテルとともにPC・サーバー用中央演算処理装置(CPU)市場を二分している。市場では、AMDが来年もAI需要増加の恩恵を受け続けるものの、競争激化と地政学リスクにより成長ペースは調整され得ると見ている。
ニューヨークの投資銀行ジェフリーズのマーク・リフコビッツ半導体アナリストは「AIラリー後もAMDの株価は依然として高い期待を織り込んでいる」とし、「しかし実際の利益成長が市場期待に見合わない場合、株価の調整圧力が強まる可能性がある」と分析した。続けて「投資家の関心は今やAMDが示す具体的なAI事業の青写真と来年の収益性改善のスピードに集中している」と付け加えた。