米国トランプ政権がエヌビディアが開発した最先端の人工知能(AI)半導体「ブラックウェル(Blackwell)」を中国へ輸出できないよう阻止すると明言した。中国のAI技術発展を源流で遮断する強い意思を再確認する措置である。ただしホワイトハウスは「現時点」で販売する意向はないと線引きし、米中関係の行方次第では追加措置が出る可能性も排除しなかった。
ロイターによると4日(現地時間)キャロライン・レビット米ホワイトハウス報道官は定例ブリーフィングで「最も先進的なチップであるブラックウェルチップについて言えば、現時点で中国に販売する関心はない」と述べた。
これはドナルド・トランプ大統領が2日に行った発言を公式に再確認したものだ。トランプ大統領は当時「世界で最も価値のある企業(エヌビディア)が作った最先端チップは米国企業のために備蓄される」とし「中国と他の国々から遮断する」と宣言した。
今回輸出が禁止された「ブラックウェル」はエヌビディアが2024年3月に公開した次世代AIチッププラットフォームである。大規模言語モデル(LLM)の訓練と推論に不可欠な「AIスーパーチップ」と呼ばれる。世界中のAI開発各社がこのチップを確保するために死活を懸けている。
米CNBCなど主要海外メディアによると、ブラックウェルB200 GPUは前世代のH100より最大30倍速い推論性能を提供する。AIモデル訓練に必要なエネルギーとコストを画期的に削減できる。米政府がこのチップの中国行きを阻んだ理由も、中国がこのチップを軍事的AIや監視システムの高度化に活用する状況を極度に懸念しているためである。
米国の対中半導体輸出統制は今回が初めてではない。バイデン政権時代の2022年10月、米商務省は中国の先端半導体へのアクセスを遮る包括的な輸出統制措置を発表した。この措置でエヌビディアの主力AIチップだったA100とH100の中国向け輸出が止まった。
エヌビディアはこの規制を迂回するため性能を落とした「中国向けカスタム」チップA800とH800を開発して販売した。中国市場はエヌビディアのデータセンター売上の20〜25%を占める中核市場である。
しかし米政府は2023年10月にA800、H800などの低仕様チップまで輸出統制対象に含める追加措置を打ち出し、この迂回路さえ封じている。今回の「ブラックウェル」禁止措置は中国のAI追撃の意思を完全にくじくというトランプ政権の強硬路線を示す。
市場ではトランプ政権が「ブラックウェル」の性能を落としたバージョン(scaled-down version)は中国への販売を許可するかもしれないとの観測があった。だが今回のホワイトハウス発表で「低仕様ブラックウェル」の中国輸出路もいったん塞がれた。前日のロイターによるとトランプ大統領は先月韓国で開かれた習近平中国国家主席との首脳会談でこの問題を協議すると示唆したが、この議題は会談のテーブルに上らなかったとされる。
今回の措置でエヌビディアはもちろん、中国のAI企業にも打撃は避けられない見通しだ。エヌビディアは中核市場である中国を事実上放棄せざるを得ない危機に追い込まれた。ジェンスン・フアンエヌビディアCEOは過去に「米国の対中規制が米国テック企業に『enormous damage(莫大な被害)』をもたらし得る」と警告した。
中国企業はエヌビディアのチップを代替する自国産AIチップ開発を加速せざるを得なくなった。ファーウェイの「Ascend 910B」などが代案として取り沙汰されるが、まだエヌビディアのチップ性能には及ばないとの評価が支配的だ。