サムスン電子が米国テキサス連邦地裁で行われた有機発光ダイオード(OLED)技術特許訴訟の一審で、約2740億ウォンを上回る巨額の賠償評決を受けた。
3日(現地時間)ロイターによると、米国テキサス東部地区連邦地裁の陪審はサムスン電子がピクティバ・ディスプレイズの保有するOLED関連特許2件を侵害したと判断した。陪審はサムスン電子に総額1億9140万ドルの損害賠償を命じた。
訴訟を提起したのはアイルランド系の特許ライセンシング専門企業(NPE)「ピクティバ・ディスプレイズ」である。ピクティバはサムスン電子の主力製品であるギャラクシースマートフォンをはじめ、テレビ、コンピューター、ウェアラブル機器など事実上すべてのOLED搭載機器が自社の特許技術を無断で使用したと主張した。
問題となった特許(U.S. Patent No. 6448716/6894434)は、OLEDディスプレイの画質と寿命を向上させるピクセル駆動回路技術に関連する技術である。OLEDパネルで各ピクセル電圧を補償し画面全体の輝度を均一に維持し、「バーンイン(burn-in)」現象を減らす中核技術とされる。
審理の過程でサムスン電子はピクティバ側の主張を全面否認した。当該技術は使用しておらず、仮に使用していたとしても、ピクティバが保有する特許自体は先行技術により進歩性が否定され無効だと強く反論した。
しかしテキサスの陪審はピクティバ側の主張を受け入れた。ピクティバ側の弁護団は、サムスン電子の機器が自社の特許権を明白に侵害した点を陪審に説得することに成功した。
ピクティバ側は評決直後「今回の決定はピクティバが保有する知的財産権(IP)の強みを立証するものだ」と述べ、歓迎の意向を示した。
ピクティバは「キー・ペイテント・イノベーションズ」という特許ライセンシング企業の子会社である。キー・ペイテント・イノベーションズは製品を直接製造・販売せず、特許を買い取ったりライセンスを受けたりして、訴訟や交渉を通じて収益を上げる。
業界ではこのような企業を特許非実施主体(NPE、Non-Practicing Entity)または特許主張主体(PAE、Patent Assertion Entity)と呼ぶ。技術革新に寄与するより特許訴訟によって和解金や賠償金を狙う点から、特許トロール(Patent Troll)という否定的な別称でより頻繁に呼ばれる。
米国政府説明責任局(GAO)は報告書で「NPEは製品やサービスを実施する意図なく特許権を取得し、しばしば特許侵害訴訟を通じて収益を上げる」と定義したこともある。
ピクティバが保有する特許ポートフォリオは、2000年代初頭にドイツの照明・半導体大手オスラム(Osram)がOLED技術を商用化する過程で確保した基礎特許に基づく。キー・ペイテントはオスラムからこれらの特許を買い取り、子会社ピクティバを通じてサムスン電子を相手取り訴訟を提起した。
とりわけ今回の審理が行われたテキサス東部地区連邦地裁マシャル支部は、伝統的に特許権者に有利な判断が多く、特許トロールが最も好む「特許訴訟の聖地」と呼ばれてきた。マシャル支部は特許権者に親和的な陪審構成と迅速な審理進行により、一時は世界の特許訴訟の4分の1を占めた。ただし近年は米連邦最高裁の判例変更により、テキサス西部地裁(オースティン、ウェイコ)に一部訴訟が分散する傾向にあると米主要メディアは伝えた。
今回の陪審評決は一審裁判所の事実審判断である。まだ法的争点に関する裁判官の最終判決と控訴審手続きが残っている。サムスン電子は審理の過程を通じて特許の無効性を主張してきた。これを踏まえると、サムスン電子は一審陪審の評決に不服として直ちに控訴手続きに入ると予想されると専門家は見ている。
控訴は特許事件を専管するワシントンD.C.の連邦巡回控訴裁判所(CAFC、U.S. Court of Appeals for the Federal Circuit)で行う。CAFCは一審陪審の判断とは別に、特許の有効・無効などの法理的争点を厳格に審理し直す。控訴審を含む最終結果は、今後数年にわたる煩雑な法廷闘争を経てようやく確定する見通しだ。