英国で第3党所属の政治新人が台頭し、長年の二大政党制に亀裂が入る様相だ。主役はジャック・ポランスキー緑色党代表で、特有のデジタルによるコミュニケーション手法と若年層を包摂する訴求力が、ニューヨークの進歩系政治家ゾラン・マムダニを想起させるとの分析が出ている。
2日(現地時間)ワシントン・ポスト(WP)によると、英国の俳優兼社会運動家出身の政治家ジャック・ポランスキーは、第3党所属の政治家としては異例の勢いで支持者を集めている。ポランスキーはロンドン市議会の議員であり、イングランド・ウェールズ緑色党の第9代党代表で、就任以降、緑色党の平均支持率は約3%上昇し、最高15%を記録した。
2015年に自由民主党所属の地方選候補として初めて政治活動を始めたポランスキーは、その後緑色党に党籍を移し、2021年にロンドン市議会議員に当選した。9月には85%の得票率を記録して緑色党代表に選出されたが、緑色党は昨年の総選挙でこそ4議席にとどまったものの、39選挙区で2位となり、拡張可能性を示した経緯がある。
特にポランスキーが代表選出馬を宣言した5月から7月の間に緑色党の党員数は少なくとも8%以上増加し、この現象をめぐり一部では「ポランスキー急増(Polanski surge)」という名称を付けた。10月の緑色党党員は10万人に到達したとみられる。
特に活発なメディア露出が「ポランスキー急増」を牽引したとの分析が出ている。メディア分析会社ビーブロードキャストによると、ポランスキー就任以降、緑色党関連の放送での言及量は44%増加したが、同期間に他の主要政党の言及量は85%減少したことが分かった。世論調査の専門家であるジョン・カーティス教授は「ポランスキーは政治経験は不足しているが、大衆と直接コミュニケーションを取る能力が卓越している」と述べ、「やや抽象的な気候などの課題よりも、経済的不平等や庶民の生活費などを集中的に扱う姿勢が入党を促している」と説明した。
ソーシャルメディア(SNS)の活用面でも感度が高いとの評価が出ている。例えばポランスキーは「労働党が不法移民を公共サービス不振のスケープゴートにしている」と批判するTikTok動画を投稿し、再生回数が100万回を突破したが、ポランスキーは「経済問題を中心に据えつつも、少数者コミュニティに連帯することが重要だ」と説明したことがある。
あわせて真摯な行動も大衆を動かしている。例えばポランスキーは飛行機に乗らない「炭素削減の原則」を堅持し、海外日程の代わりにオンラインで支持者ネットワークを構築中であり、行動で政治的信念を裏打ちする積極的な歩みが30歳以下および女性有権者を引きつけているという。
実際にポランスキーの動きは英国の政治地形にも実質的な波紋を起こしている。労働党は昨年の総選挙で議席の63%を確保して圧勝したが、得票率は3分の1水準にとどまり、いわゆる「不安な勝利」を収めた。さらにガザ地区情勢への対応や移民政策の混乱で労働党への若年層の支持が揺らぐなか、緑色党は最近、離党した市議3人が合流するなど勢力を拡大しているとの評価だ。
カーティス教授は「ポランスキーの率直な話法と世代間共感の能力は、過去にブレグジット(Brexit、英国のEU離脱)を主導した政治家ナイジェル・ファラージにも似ている」と述べ、「ポランスキーは経済的不安、住宅難、教育費上昇など若年層のフラストレーションを政治的エネルギーに転換している」と語った。