KIAが欧州の戦術車両受注に拍車をかけている。KIAが掲げる核心競争力はコストパフォーマンス(価格対性能)だ。完成車メーカーである強みを生かし、欧州企業より性能の良い車両を安く迅速に生産し、維持・補修でも優位があることを前面に打ち出している。アンチドローンなど最先端技術を前面に出す欧州企業の間で隙間市場を攻略する戦略で、欧州市場で通用するかに関心が集まっている。
24日防衛産業界などによると、15〜19日(現地時間)にフランス・パリのノールヴィルパント展示場で開かれた欧州最大の防衛産業展示会ユーロサトリに10年ぶりに参加したKIAは、戦術車の全車種を披露した。KIAはKLTVと軍用タスマンを実物で、KMTVは模型で展示した。
KLTVはKIAが韓国軍と共同開発し、2016年から韓国陸軍が運用中の小型戦術車両で、最近ポーランドの標準戦術車両に選定された。KIAは今回の展示会で車体剛性を高め、エンジン冷却システムなどを追加したバージョンを公開し、ポーランド進出を足がかりに欧州市場を拡大する計画だ。
軍用タスマンは2024年に発売されたピックアップトラック「タスマン」を改良した製品である。現代自動車グループのピックアップトラックの走行性能に加え、車体の耐久性を高め、無線機や光を遮断するなどの軍用機能が追加された点が特徴だ。KMTVは現代自動車のパヴィストラックを基に作られた中型戦術トラックで、2025年から戦力化が進められている。
3車両の核心競争力は、一般車両でも使われる民需用部品が幅広く活用されている点である。民需用部品は軍需専用部品より調達が容易で生産単価が低く、戦力に空白を生じさせずに長期間運用できる利点がある。
KLTVとタスマンにはKIAのSUV「モハーベ」に使われたディーゼルエンジンが搭載された。エンジン出力を高め、猛暑や寒冷にも耐えられるよう耐久性を高めたことが特徴だ。KMTVも商用車のプラットフォームと部品を活用する。
欧州の戦術車両メーカーであるイヴェコやアルケスなども一般車両のエンジンを改良して使用するなど、基本的な形態は類似している。ただしこれらの企業は独立した防衛事業の法人形態であり、部品を外部から購入する。完成車で製造してきた自社の部品を持ち込み活用するKIAとは違いがある。
防衛産業界では、この構造が維持・補修・整備部門で大きな差につながるとみている。別法人から調達する部品が生産中止になると、当該部品で製作された防衛物資は無用の長物となり得る。新たに部品を開発するにも長い時間がかかる。
防衛産業界のある関係者は「K9自走砲が量産および整備体制を維持しながら人気がさらに高まったのはまさにこの理由だ」と述べ、「防衛物資は一般車両と異なり20年は使わねばならないため、部品の需給が極めて重要だ」と語った。
これに加え、年間で数百万台の完成車を生産し、1975年に設立されたサムウォン製作所時代から50年にわたり韓国軍に戦術車両を納品してきた生産ノウハウを基に車両価格を下げることも、KIAの中核戦略である。
このほかKIAは現代自動車・KIA南陽研究所と協業し、車両プラットフォームなどを開発して完成車の技術を戦術車両にも取り入れ、汎用性と利便性を高めている。KIA特殊事業部の関係者は「完成車メーカーの力量を活用することが大いに役立っている」と述べた。
今年のユーロサトリでは、戦術車両メーカー間の市場戦略がくっきり分かれた。KIAは安定的な生産とアフターサポートを前面に出したが、欧州企業は先端技術を強調した。
イヴェコは戦術車両が複数の無人車両とともに運用される有人・無人複合システムを披露した。またドローンを自動撃墜する能力も示した。KIAが先端兵装を統合した高価なプラットフォームではなく、合理的な価格で迅速に供給できる実用型戦術車両で存在感を示したのとは異なる戦略である。
KIAは2023年にポーランドと戦術車両400台の輸出契約を締結した。アラブ首長国連邦(UAE)には2022年からKLTVを供給しており、サウジアラビアとは輸出交渉も進行中だ。
一方、防衛産業界では、欧州企業が量産体制の確立に向けて動き、弱点の解消に乗り出していることから、KIAも先端技術を盛り込んだ車両を開発すべきだとの意見が出ている。KIA KLTVの競争製品群と評価されるバンタクの製造企業であるスペインのウロベサは、2029年までに年間5000台の生産体制構築を目標に工場を増設している。