国内の液化石油ガス(LPG)双璧の輸入会社であるSKガス、E1が海外LPGトレーディング(仲介取引)事業に人工知能(AI)を導入する。トレーディング事業は人間であるトレーダーの瞬時の判断力と、ときには運によって業績が大きく分かれる領域である。AIが過去の取引パターンや市場指標などを学習し、トレーダーが最善の結果を導けるよう、一種の「AI参謀」を作るという構想だ。
22日エネルギー業界によると、SKガスはグローバルトレーディングを担当するシンガポール支店を中心に、トレーディング業務に必要なAIプログラムを開発している。LPGトレーディング事業は、国別の価格差、需給調整、時差などを基盤に複数の国と取引する仲介貿易を意味する。
SKガスのLPGトレーディング組織は5人ほどである。彼らは数十億ウォンの年俸を受け取り、会社全体の業績を牽引している。今年1〜3月期のLPG事業部の営業利益は1623億ウォンで、前年同期(615億ウォン)比164%伸びたが、LPGトレーディングで相当な利益を上げたという。
LPGトレーディングは変数が多く、これまでベテラントレーダーの動物的な勘と運が業績を左右してきた。SKガスは、過去にベテラントレーダーが収益を上げたパターンやグローバル需給データなどをAIに学習させ、トレーダーが最善の決定を下せるようプログラムを作る計画だ。
E1もLPGトレーディング、物流、エネルギー調達業務を高度化するためAI転換(AX)に着手した。3月にAIエンジニアを採用し、業務システムの改善に力を入れている。各部門でAIを容易に活用できるよう工夫する役割だ。
海外トレーディング部門でもAIを活用する方策を検討している。E1のトレーディング組織は10人前後で、シンガポールに支店を置いている。E1の1〜3月期の全体売上のうち海外売上が58%に達するほど事業への寄与度が大きい。
E1は今年1〜3月期の海外LPGトレーディング事業で損失を出した。中東地域に在庫を積み上げていたが、ホルムズ海峡が封鎖され主要取引が滞った影響である。トレーダーの下した判断がSKガス、E1の海外業績を分けた格好だ。
海外のエネルギー企業もトレーディング過程で変数を減らすためAIを積極的に活用しているという。AI気象・エネルギー予測プラットフォームを活用して需要国の電力需要を先読みしたり、リアルタイムで海上物流の状況を把握して最適な経路を導き出す方式である。需要国の経済指標などを分析し、先手を打って物量を調整するのにも有用だという。
保守的なエネルギー業界が機敏に動く背景には、各グループ総帥の「AIドライブ」が影響したとみられる。崔泰源(チェ・テウォン)SKグループ会長は11日から3日間開かれた「2026 ニュイチョンフォーラム」でAIを中核アジェンダに据えた。崔会長は「360度全方位で、全速力でAI転換に突入すべき時だ」とし、経営陣と構成員の迅速な実行を求めた。
E1も具滋恩LSグループ会長の主導で体質改善を試みている。具会長は今年の年頭所感をAIで作成して発表するほど新技術の導入に積極的だ。具会長は「AIを製造および業務革新の中核動力とすべきだ」と述べ、全社的なAXを重ねて強調している。
ある業界関係者は「AIを活用すれば海上物流の経路最適化、気温に応じた需要変化、需要国の経済指標などを容易に分析できる」としつつも「まだ初期段階で実効性がどの程度かは見守る必要がある部分だ」と語った。