中国産鉄鋼の攻勢が完成品から加工前の中間素材である半製品へと移っている。今年に入り中国産鉄鋼完成品の輸入は減ったが、厚板・熱延鋼板の原素材であるスラブ(大きな鋼塊)の輸入は70%以上増えた。反ダンピング関税で完成品の輸入障壁が高まる一方、関税対象でない半製品が中国産鉄鋼の新たな流入経路となっているとみられる。
14日韓国鉄鋼協会の輸出入統計によると、今年1〜5月の中国産鉄鋼完成品の輸入量は313万8540トンで、前年同期比7.6%減少した。一方で同期間の中国産スラブ輸入は22万9134トンで、前年同期比71.8%増加した。スラブは溶銑を固めて作る分厚い長方形の鋼塊で、圧延して薄く延ばせば厚板・熱延鋼板といった鋼板製品になる。
鉄筋・形鋼の素材となる棒状半製品であるビレットの輸入も6万6195トンで前年に比べ小幅増となった。完成品輸入は減り、その前段階の素材である半製品輸入は増え、中国産鉄鋼輸入の構成が変わっている。
関税の影響が背景に挙げられる。韓国は中国産の低価格鉄鋼材流入を防ぐため、中国産厚板に27.91〜34.10%のダンピング防止関税を課し、日本・中国産熱延鋼板にも最大33%台の関税賦課手続きを進めている。しかしスラブとビレットは熱延・厚板・鉄筋などに製造する前段階の半製品であるため反ダンピング関税の対象ではない。完成品は関税負担で価格競争力が落ちたが、半製品は相対的にコスト負担が小さい状態で入ってこられる構造だ。
中国鉄鋼各社は不動産・建設不況で国内で消化できない物量を海外市場に出してきた。ここに米国・欧州連合(EU)・韓国など主要市場が中国産完成品に対する輸入障壁を高め、半製品を迂回路として活用している。パク・グァンレ新韓投資証券研究員は「今年1〜4月の中国の完成品鉄鋼輸出は前年同期比9.7%減ったが、半製品輸出は47.8%増えた」とし、「中国の過剰供給圧力が完成品の直接輸出からスラブ・ビレットなど半製品の迂回輸出へと形を変えている」と述べた。
中東での戦争長期化に伴う供給混乱も中国産半製品が入り込む隙を広げた。世界主要スラブ輸出国であるイランはイスラエル・米国との衝突以降、一部製鉄所が被害を受け半製品輸出に支障を来している。鉄鋼業界関係者は「3月以降の中東リスクでイラン産半製品の供給が制限され、その空白を中国産半製品が埋める状況だ」と語った。
中国産半製品の流入が引き続き増えれば、下半期の厚板・熱延鋼板の価格回復幅を抑える可能性があるとの懸念も出ている。反ダンピング措置で中国産の熱延・厚板など低価格完成品の流入が減り、国内価格は足元で上昇基調を示している。
しかしスラブは関税負担なしに入ってきた後、国内で厚板・熱延鋼板に加工され得る。完成品輸入は減ったが、中国産原素材が再び鋼板製品に姿を変えて市場に出れば、価格回復基調を抑える要因になり得るということだ。
業界関係者は「中国産半製品輸入の増加が国内の厚板・熱延鋼板など板材価格に及ぼす直接的な影響は現時点では大きくないと把握している」としつつも、「イラン製鉄所の復旧に最短で6カ月から1年かかると推定されるうえ、中国の内需不振も長引いており、下半期の半製品流入規模を注視している」と述べた。
鉄鋼各社は供給の変数が相次ぐなかで汎用板材の価格回復だけに頼るより、輸出拡大や高付加価値製品、非鉄鋼事業で業績防衛の戦略を広げている。国内鉄鋼業界1位のポスコホールディングスは、鉄鋼部門のコスト負担をインフラ・海外鉄鋼・二次電池素材など非鉄鋼部門で補完している。業界2位の現代製鉄は販価引き上げとともに米国向け鉄筋輸出、データセンター向け鋼材の供給戦略を進めている。証券街では国内板材価格の防衛と高付加価値製品中心のポートフォリオ転換が、下半期の鉄鋼業界の業績改善幅を分けるとみている。