ハンガリーで16年ぶりに政権交代が実現し、現地に進出した韓国の電池各社に今後どのような影響が及ぶか注目されている。ハンガリー政府はこれまで電池産業を支援する政策を展開してきたが、新政権は野党時代に電池産業に否定的な認識を示してきたためだ。
15日、ニューヨーク・タイムズ(NYT)など主要海外メディアによると、12日(現地時間)に実施されたハンガリー総選挙で、野党ティサ(Tisza)が与党フィデス(Fidesz)を破り圧勝した。ティサは全議席(199議席)のうち3分の2を超える138議席を確保した。これに対しフィデスは既存議席から80議席を失い、55議席の確保にとどまった。
ビクトル・オルバン首相は選挙キャンプ本部で「ハンガリーを統治する責任と機会はもはや我々に与えられていない」と述べ、敗北を認めた。ティサを率いるペーテル・マジャル代表は支持者の前で「ハンガリーを解放し、韓国を取り戻した」と述べ、総選挙の勝利を祝った。
ハンガリー総選挙の結果を注視していた電池業界は混乱に陥った。今回大敗したオルバン政権は2022年9月に「国家バッテリー産業戦略2030」を発表した。2030年までに欧州の電池サプライチェーンの中心に立つという目標を掲げたものだ。オルバン政権は現地に投資する電池関連メーカーに補助金や減税の優遇を提供してきた。
韓国の電池各社の一部は欧州市場を狙い、ハンガリーで電池工場を稼働している。サムスンSDIは2017年からハンガリー工場で電池生産を開始した。サムスンSDIは2023年からハンガリー第2工場でも電池を生産している。SKオンはハンガリーに3カ所の工場を有する。第1工場は2020年から、第2工場は2022年、第3工場は2024年から稼働中だ。
韓国の電池素材各社も多数がハンガリーに進出している。EcoProは昨年11月、欧州初の正極材工場をハンガリーに竣工した。当該工場は今年第2四半期から商業稼働を開始する。Solus Advanced Materialsはハンガリーに電池用銅箔(電池箔)工場を構築し、2021年から量産している。
韓国の電池関連企業がハンガリーに注目したのは、ハンガリーが欧州の電気自動車生産拠点の一つであるためだ。アウディ、BMW、メルセデス・ベンツの独完成車3社は、ハンガリーでEVを生産中、もしくは生産計画を持っている。
世界首位の電池メーカーである中国のCATLも2022年、ハンガリーのデブレツェンに100ギガワット時(GWh)規模の生産工場を設立すると発表した。当該工場は2027年完成予定だ。BYDも昨年5月、オルバン首相と共同記者会見を開き、欧州本部の設立計画を発表した。
しかし今回政権を獲得したティサは、これまで環境問題などを掲げ、電池産業を継続的に政治争点化してきた。総選挙当時も、電池産業に関連する環境・労働問題を問題視した。
電池業界関係者は「オルバン政権が推進する代表的な事業だったので、ティサが野党の時には電池事業が争点だった」と述べたうえで、「電池関連の税制優遇などが縮小されるのではないかと懸念している」と語った。
この関係者はさらに「ハンガリーの中核産業が自動車である以上、無条件に電池産業を阻むことはできないだろうとの期待を抱いている」と付け加えた。
別の電池業界関係者は「総選挙が終わったばかりの状況なので、情勢を見守っている」と述べ、「これまで電池産業に否定的だった野党が政権を取っただけに、ハンガリー政府の政策を注視している」と語った。