米国とイランの戦争が中東全般へ拡大する様相を見せるなか、グローバル海運業界が混乱に陥った。ホルムズ海峡が事実上閉鎖された状況で、タンカーの1日あたり運賃が42万ドルを超え、過去最高水準を記録した。戦争を見据えて海運会社が加入する保険会社は補償を停止した。
3日、ロンドン証券取引所グループ(LSEG)によると、「中東—中国」航路を運航する超大型原油運搬船(VLCC)の日次ベースの運賃(TD3C)は前日基準で42万3736ドルを記録した。これは前営業日である先月27日(21万8154ドル)に比べ94%急騰した水準で、過去最高だ。
この航路は中東からインド、日本、韓国などに向かう航路を含む。この運賃はアジア圏の大型タンカーに一律で適用される。中東地域の原油輸出増加と地政学的リスクにより先月末、新型コロナ以降の最高値を付けた。年初の1月5日(2万8709ドル)の時点では3万ドルを下回っていた。イラン戦争の発生により14倍水準に上昇した。
タンカーを含む業界全般の運賃指数も上昇している。グローバルエネルギー情報分析企業S&Pグローバル・プラッツ(S&P Global Platts)によると、業界標準の運賃指数であるワールドスケール(WS)の中東—中国航路は216.89で、1週間前に比べ47.5ポイント上昇した。これは油価暴落で貯蔵用船舶需要が爆発した2020年5月以降で最も高い水準だ。
戦争危険保険会社はホルムズ海峡を通過する船舶に対する補償を中止することにした。海運専門メディアの「トレードウインズ(TradeWinds)」など海外メディアによると、イランが海峡を通過していた一部船舶を攻撃したことを受け、保険会社はこのような決定を下した。
また「ロンドン保険市場連合(Joint War Committee)」は、中東一帯を通過する船舶に対する戦争危険保険料率を約0.1%水準から最大1.3%まで引き上げた。イスラム革命防衛隊はホルムズ海峡の閉鎖を宣言し「誰であれ通過を試みる船舶は焼き払う」と述べた。
現在、タンカーを運航するグローバル船社はホルムズ海峡進入前にオマーン湾などの安全海域で運航を一時停止し、待機している。韓国の船社のうちではHMMのコンテナ船1隻(ダオン号)が現在アラブ首長国連邦(UAE)ドバイのジュベル・アリ港に停泊中とされる。韓国ではホルムズ海峡とペルシャ湾、オマーン湾など中東一帯の海域に常時30〜40隻が滞在していると把握された。
HMM関係者は「ダオン号は安全な状況で待機中だ」としつつ「ドバイに当分入れない可能性が高まっており、航路変更を検討中だ」と述べた。
海洋水産部関係者は「政府が1日、ホルムズ海峡の運航を中止するよう海運業界に知らせた」とし「現在、韓国の船舶は海上で投錨するか、港に停泊しており、危険な状況ではないことが確認された」と述べた。
一部では海運会社が恩恵を受けるとの分析も出ている。運賃が急騰しただけに短期的に収益性が改善する可能性があるということだ。ペ・セホim証券研究員は「米国とイランの対立で原油輸出に対する不確実性が高まり、主要中東諸国の先制的な原油輸出増加があった」とし「短期的な運賃の一段の上昇余地があり、コンテナ運賃も上昇中で、韓国海運企業に短期的な恩恵があるとみられる」と述べた。
ただし海運企業は、運賃だけが上がるのではなく費用も増加し、結果的に利益は増えないとみている。代表的なのが燃料費だ。イラン戦争で国際油価が急騰している。
前日、ICE先物取引所で取引された5月渡しブレント原油先物の終値はBarrel当たり77.74ドルで、前営業日比6.7%上昇した。グローバルコンサルティング会社ウッド・マッケンジー(Wood McKenzie)は「タンカー運航中断事態が速やかに再開されない場合、国際油価は短期間でBarrel当たり100ドルを上回る見通しだ」と述べた.
ある韓国の海運会社の幹部は「単に運賃が上がったからといって利益が出るとは言い難い」とし「油価が急騰したうえ、保険料も上昇するなど費用増が後を追っている」と述べた。
一方、韓国海運協会はこの日、HMMとPan Oceanなど会員社に「ホルムズ海峡通航船舶および船員安全措置遵守要請」の公文を発送した。公文には、▲事前の安全教育と緊急対応訓練の実施 ▲船舶別の保安計画の策定・施行 ▲戦争保険の加入状況と特約条件の再点検、などの内容が盛り込まれた。また海洋水産部総合状況室、清海部隊(ソマリア沖派遣部隊)と船舶位置情報をリアルタイムで共有し、代替港への寄港時に船員支援を行うため現地大使館とも緊密に協力している。