ハンファはテックおよびライフ部門を切り出して新たな持株会社を設立する会社分割(人的分割)を実施する。事業ポートフォリオを最適化して複合企業ディスカウントを解消し、迅速な意思決定と実行力を確保して事業競争力を強化する狙いだ。
新規持株会社に編入される系列会社の大半がキム・スンヨン・ハンファグループ会長の三男であるキム・ドンソン・ハンファギャラリア副社長の担当という点も注目される。長男のキム・ドングァン・ハンファ副会長の下からキム・ドンソン副社長が独立する格好で、承継構図に及ぼす影響が注目される。
ハンファの取締役会は14日午前、取締役会を開き、この内容の人的分割を決議した。新設される「ハンファマシナリー&サービスホールディングス」法人の下にハンファビジョン・ハンファモメンタム・ハンファセミテック・ハンファロボティクスなどテック分野の系列会社と、ハンファギャラリア・ハンファホテル&リゾート・アワーホームなどライフ分野の系列会社がひとつに束ねられる。ハンファエアロスペース・ハンファオーシャン・ハンファソリューション・ハンファ生命など防衛および造船・海洋、エネルギー、金融の系列会社は存続法人(ハンファ)に属する。
分割比率は純資産簿価を基準に存続法人76.3%、新設法人23.7%と算定した。既存株主は分割比率に応じて存続法人と新設法人の株式を割り当てられる。人的分割は6月の臨時株主総会など関連手続きを経て7月中に完了する予定だ。
◇複合企業ディスカウントの解消、事業の専門性最大化効果に期待
ハンファは今回の人的分割で「複合企業ディスカウント」が相当程度解消されると期待している。複合企業ディスカウントとは、持株会社のように複数の事業を保有する企業が、各事業部門を切り離して合算した価値より低く評価される現象を指す。
ハンファ関係者は「存続法人と新設法人が市場で再評価され経営効率性が向上すれば、相対的に低い評価を受けてきたハンファの価値も上昇するだろう」と見通した。実際、2024年9月にハンファエアロスペースは非防衛事業群をハンファインダストリアルソリューションズ(現ハンファビジョン)として人的分割したが、3カ月後に時価総額が35%上昇した経緯がある。
今回の分割で新設されるハンファマシナリー&サービスホールディングスは、迅速な意思決定と効率的な資本投資などを通じて成長潜在力を引き上げる計画だ。新設持株主導でテック部門とライフ部門の戦略的協業および投資を断行し、飲食(F&B)と小売の領域で「フィジカルAI(ロボットなど物理的形態を持つAI)」ソリューション事業を次世代の成長エンジンとして育成する。
そのために、▲AI技術・ロボット・自動化設備を活用する「スマートF&B」▲スマート管制システムなど顧客応対に先端技術を適用した「スマートホスピタリティ」▲知能型物流体制である「スマートロジスティクス」の3大核心領域を選定し、市場先取りの戦略を策定している。既存事業の成長だけでなく、部門間シナジーを活用した将来の新規事業を開拓して企業価値を最大化することが目標だ。
防衛、造船・海洋、エネルギー、金融などが集まるハンファも事業の専門性を最大化し、市場競争力を強化する方針だ。ハンファ関係者は「政策的な敏感度が高い事業群の特性を踏まえ、各種の事業リスクに先制的に対応し、長期的観点に基づく事業戦略および投資計画などを策定して企業価値を高める計画だ」と述べた。
◇三男キム・ドンソンの独立経営…系列分離は見極めが必要
新設持株を通じてキム・ドンソン副社長のグループ内での役割が拡大する可能性も取り沙汰される。新設持株の傘下に入る系列会社の大半は、キム・ドンソン副社長が役員として活動中か、持分を保有している。ハンファギャラリアの場合は16.85%の持分を保有する主要株主であり、ハンファビジョンとハンファモメンタム、ハンファギャラリア、ハンファホテル&リゾートなど事業報告書が公示される系列会社では、副社長職級の未来ビジョン総括を務めている。
新設持株ではキム・ドンソン副社長の影響力が強く反映されざるを得ない。ここに新設持株もハンファとともにグループの一角を担うことになり、キム・ドンソン副社長の存在感が一段と拡大し得る構図だ。ただし新設持株の代表を直接キム・ドンソン副社長が務めるかどうかなどについては、まだ決まっていないとされる。
一部では今回の人的分割が三兄弟の系列分離作業の一環だとの分析も出ている。昨年12月、キム・ドンウォン社長とキム・ドンソン副社長はハンファの持分を22.15%保有して支配構造の最頂点にあるハンファエナジーの持分を売却した経緯がある。この作業でキム・ドングァン副会長のハンファエナジーに対する支配力は一層拡大した。
ただし業界では、今回の人的分割が直ちに系列分離に結び付くのは難しいとの見方が支配的だ。系列分離のための持分整理など後続作業が進んでいないうえ、この時点で分割された場合、ハンファグループの価値が大きく萎縮せざるを得ないためだ。
一方、ハン・サンユン・ハンファIR担当常務はこの日の企業説明会で、大株主の株式交換の可能性について「(今回は)単純な人的分割であり、持分整理、持分交換、持分売却に関する計画はない」と述べた。ハンファとハンファエナジーの合併可能性についても「全く検討していない」と述べた。
一方ハンファは人的分割と併せて、自社株消却、配当拡大などの株主還元政策を通じた株主価値向上策を推進することにした。まず、役職員の成果報酬分(RSU)を除いた普通株445万株を株主総会などの関連手続きを経て消却することにした。これは全普通株の5.9%、時価4562億ウォン(13日終値基準)規模で、新政権発足以降最大規模の自社株消却だ。
加えて、最低1株当たり配当金(DPS)を、昨年支給した1株当たり配当金(普通株基準800ウォン)に比べて25%増の1000ウォン(普通株基準)に設定し、株主が配当の信頼性と予見可能性を持てるようにする。
ガバナンスも改善する。▲独立した監査支援部署の設置 ▲最高経営者の後継計画の策定および運用 ▲配当方針および実施計画の年1回以上の公示 ▲現金配当の予見可能性の提供 ▲株主提案に関する権利および手続のホームページ案内の検討など、透明経営を一段と強化する方針だ。